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社説「島伝い」

2019年7月25日

訪日客を地方に呼び込むには

 8月は日本も夏休みシーズンで、お盆の帰省ラッシュが毎年ニュースになりますが、シンガポールでも何かと旅行が話題になる時期です。特に今年は、8月9日の建国記念日に続いて8月11日がハリラヤ・ハジの祝日、翌12日が振替休日となることから、この期間を利用して旅行に出かける人も多いようです。また、毎年8月に開催されるシンガポール旅行業協会(NATAS)主催の旅行博「NATAS Holidays」では、11月半ばから12月末までのスクール・ホリデーや来年の旧正月シーズン向けの旅行商品が多数展示・販売されます。

 

 日本を訪れるシンガポール人の数も2012年以降増え続けていますが、その特徴としてよく挙げられるのが、個人旅行の多さ。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2018年に観光目的でシンガポールから訪日した人のうち、団体ツアーの参加者は1割未満でした。また、来訪回数が2回目以上と答えた人は70.3%と、リピート客が実に7割を超えていました。調査対象の21ヵ国・地域の中では、香港(85.1%)、台湾(81.5%)に次ぐリピート率の高さです。

 

 リピート客の多くが求めるのは、定番の観光スポットをめぐることから一歩踏み込んだ、日本ならではの体験。外国人向けガイドブックなどにはあまり紹介されていない場所やイベントを訪れたり、特定の地域でしかできないことを体験したい、といったニーズが高いようです。もちろん、「インスタ映え」するような景色やモノも人気。また、春の花見や秋の紅葉、冬の雪など、日本の四季を楽しむために旅行の時期を選ぶ人も多くいます。

 

 これらの要素はもちろん東京や大阪、京都などの都市部にもありますが、地方のいわゆる田舎にもおすすめの良い場所がたくさんあります。大都市から離れた地方まで訪日外国人に足を運んでもらうのはなかなか難しいと考える地方自治体や観光業界の関係者も少なくないようですが、各地で長年人々が暮らしながら作り上げてきた町並みや文化、自然豊かな景色などは、特にリピート客には魅力的。外国人観光客の中でもとりわけ彼らに対してアピールすることがポイントになります。

 

 来年の東京オリンピックには多くの外国人が日本を訪れると見込まれ、訪日客を呼び込む大きなチャンスになるのは間違いありません。しかしより重要なのは、オリンピック後も継続的に呼び込めること。フットワークの軽い個人旅行が多く、リピート率も高いシンガポールからの訪日客に注目してみることは、特に地方にとっては大きなヒントがありそうです。(千住)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.348(2019年8月1日発行)」に掲載されたものです。

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