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社説「島伝い」

2017年12月23日

次のステップへ向かう方法

新しい年を迎えて、今年は昨年以上の結果を出せるように頑張ろう、と気持ちを新たにしている方も多いことと思います。でも、実際に何をどのように頑張ろうとしているのかと問われると、昨年までやってきたことを今年も引き続き頑張ることをイメージしている方が意外と多いのではないでしょうか。

 

もちろん、「継続は力なり」という言葉もあり、コツコツと努力を積み重ねることが大事なのは言うまでもありません。しかし、在住していると特によく分かることですが、シンガポールはさまざまな面で常に変化し続けています。また、この国だけでなく、アジアや世界全体を見ても変化のスピードは速まる一方です。周りが変化している中、自分達だけが何も変わらずに居続けることはできなくなっていると言えます。昨年までとは周りの条件が異なるのであれば、これまでやって来たことを見直したり、違うアプローチを取る必要も出てくるでしょう。

 

例えば弊紙は、2004年7月に週刊のビジネス向けフリーペーパーとして創刊しましたが、当時シンガポールでもインターネット環境が急速に整いつつあったことや、読者の方々の反応などを受け、1年余りで紙媒体を隔週発行に変更、同時にウェブサイトを立ち上げました。日々のニュースはウェブサイトから発信、紙媒体ではニュースはダイジェストにして、編集企画やインタビュー記事などのコンテンツの充実を図る方向に転換したのです。

 

紙媒体の発行頻度を週刊から隔週に変えたことは、一見後退しているようにさえ見えたかもしれません。しかし、紙媒体にこだわらずウェブでも情報発信できるメディアになる必要があったことは、10年以上経って、単にウェブサイトを運用するだけでなく、スマートフォンやタブレット端末からも利用しやすいインターフェースを持ち、各種のSNSを活用しながらネット上でユーザーとコミュニケーションを取ることがメディアにとって当たり前のこととなっている現在の状況を見れば明らかです。

 

また昨年4月には月刊化し、紙面サイズをB5変形判からより扱いやすいA4判に変更しました。ニュースはウェブサイトでの発信に特化、より読み応えのある記事の拡充を図ることで、皆さまのニーズに応える媒体づくりを常に目指し続けています。

 

今までやって来たことはすべてそのままで、何かを加えることで起こせる変化も当然あります。しかし、何かを加える代わりに別の部分を減らしたり、新しい切り口でのアプローチを試したり、あるいは思い切ってやめてしまうことで、次のステップに向かうという方法もあるのではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.329(2018年1月1日発行)」に掲載されたものです。

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