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社説「島伝い」

2016年10月17日

​​​​​​​​今後につなげるために

前号でも特集しましたが、今年は日・シンガポール外交関係樹立50周年。「SJ50」と銘打ったさまざまなイベントが開催され、シンガポールから日本を訪れる旅行者の数も、昨年に引き続き増加傾向にあります。しかしそれ以上に、日本からシンガポールへの流れが最近一層大きくなっているのを感じます。

 

その要因の一つはおそらく、今年2月に署名された環太平洋パートナーシップ協定(TPP)。日本政府は、先月26日から始まった臨時国会で承認を得て批准することを目指しています。またTPPに関連して中小企業の海外進出を後押しする国の支援制度も実施されるなど、その影響もあってか以前にも増してさまざまな地方から、自治体や企業がシンガポールでの視察やPRイベントを実施しているようです。しかしその中には、具体的に何をするのか案がないままとりあえず来星した、というケースもまだ少なからずあるようです。

 

イベントの成否が来場者数で測られることも多いのですが、内容を評価するには不十分。日本の食品をPRするイベントで、来場者のほとんどが現地在住の日本人だったということもあります。イベント自体は賑やかで楽しいものになったとしても、現地市場参入の良い足掛かりになるかは疑問です。今年6月時点でのシンガポールの人口は約560万人。うち3~4万人である在星日本人を除いて、残りの555万人あまりに日本の食や文化の良さをアピールし、ファンを作るために何をするのか、作戦をしっかり練ってイベントを実施する必要があります。さらには、良さを知った人達が日本に行きたくなる、つまり訪日旅行者数の継続的な増加につなげることも視野に入れて取り組むべきでしょう。

 

日本からシンガポールへ進出する流れが拡大していることは、現地に在住する我々にとっても喜ばしいことです。現在、当地や東南アジアへの進出のために日本から来星して頑張っている方々もたくさんいます。ゆっくりでも着実に成果が積み重なり、やがて市場への進出成功につながることを、それがまたこの地域にも日本にも還元されるいい流れになっていくことを願っています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.312(2016年10月17日発行)」に掲載されたものです。

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