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社説「島伝い」

2007年7月30日

リーダーシップの魅せ方

8月9日はシンガポールのナショナルデー。通常「建国記念日」と訳されますが、シンガポールでこの日が持つ意味は、日本の「建国記念日」とはかなり異なります。
ナショナルデーは、シンガポール共和国という国家のいわば誕生日。そのお祝いの祭典である「ナショナルデーパレード(NDP)」には、まさに国を挙げて準備が進められます。主要な道路沿いには1カ月以上前からNDPのテーマやロゴが入った旗や幕、ボードなどが設置され、8月9日が近付くにつれて住宅やHDBの窓にずらりと国旗が掲げられ、ビルの玄関や門などにも国旗や国章がはためき、NDPのリハーサルやNDP関連の数々のイベントが行われて国中が祝福ムード一色に包まれます。
この日はまた、シンガポールという国家の現在の姿や将来のビジョンを国民に示し、国民の結束力を高める日でもあります。建国から半世紀足らずで先進国に肩を並べるまでに至ったこの国が今後どこに向かおうとしているのか、そのために国が何をしようとしていて、国民に期待していることは何か、パレードなどビジュアルを介して国民に伝えるのです。それはまた、ナショナルデーの前後に毎年開催されているナショナルデーラリー(集会)での首相演説でも具体的な言葉で語られます。英語だけでなく中国語、マレー語でも演説が行われ、そのテキストはもうひとつの公用語であるタミール語にも翻訳されて政府のホームページで閲覧できます。
ナショナルデーは、外国人にとってはシンガポールの数少ない祝日のひとつと捉えられがちですが、シンガポール国民にとっては本当に特別な日。ぜひ何らかの形でナショナルデーパレードをご覧頂くことをお勧めします。会場であるマリーナ・ベイのフローティング・スタジアム近辺を通り過ぎるパレードを眺めるだけでも、きっといろいろな驚きや発見があるのではないでしょうか。会場の模様はテレビやウェブキャストでも見ることができます。シンガポールの未来に思いを馳せ、瞳を輝かせながらナショナルデーパレードを楽しむ観客の姿から、いろんなことを感じて頂けるのではないかと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.103(2007年07月30日発行)」に掲載されたものです。

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