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社説「島伝い」

2007年12月3日

地球に優しいごみの捨て方

日本ではすっかり当たり前になっているごみの分別。可燃物と不燃物の区別さえしない自治体があったのも今は昔。分別の種類はどんどん細分化されて、自治体によって少ないところでも4~5種類、多いところでは20種類を超えるそうです。

 
比較的最近シンガポールに来た方は、ごみ捨ての現状にきっと驚かれたことでしょう。「クリーン&グリーン」のきれいな街を実現しているシンガポール、さぞやごみの分別も厳しかろうと思いきや、可燃物と不燃物の区別もなく、何でもごみ箱へポイ、が可能。多くのコンドミニアムにはダストシューターが付いていて、台所の生ごみも、空き缶も、紙くずも、食品包装のプラスチック袋も何でもポイポイ。あげく高層階から空きびんが放り込まれて「ガラスのビンはダストシューターへ投げ込まないように」という注意書きが…。何でも捨てられるごみ箱が街中の至るところに設置され、家庭ごみもこんなに手軽に捨てられることは非常に便利である半面、少々後ろめたさを感じてしまいます。

 
シンガポールでのごみ処理は主に焼却で、一部埋め立ても行われています。しかし、近年人口が急増してごみの量も急激に増えており、埋め立て地不足が問題になるなど、ここに来てようやくごみ処理問題にもスポットが当たり始めました。有料の専用ごみ袋導入も環境省で検討されているようです。

 
そして、シンガポールとあまり変わらないごみ処理が行われていたお隣マレーシアでも、来年4月に家庭ごみの分別収集が義務付けられることになりました。マレーシアのごみ資源再利用率は5%と工業先進国の30~50%に比べて低いのですが、今後は国として資源再利用環境の整備に取り組み、ビン、カン製品のメーカーにも回収が義務付けられるそうです。

 
先月行われたASEANサミットの中でも環境問題が大きく取り上げられ、各国が問題を認識するだけでなく、具体的な対策を策定し、協力しあって取り組まなければならないとする意見が相次ぎました。シンガポールは二酸化炭素排出量などに関して具体的数値目標こそ提示しませんでしたが、近いうちに国として何らかの策が取られるのではないかと期待しています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.111(2007年12月03日発行)」に掲載されたものです。

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