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社説「島伝い」

2008年2月18日

バレンタイン・デーの由来

チョコレートが街中にあふれる光景に慣れきってしまった目にはとても新鮮に映るのがシンガポールのバレンタイン・デー。

 
先週14日、シンガポールでは、花束を片手に女性を待ちながらそわそわしている男性の姿が街のあちこちで見られました。また、恋人や旦那様にもらった花束を抱えて幸せそうな笑顔を見せる女性の姿も多く、ロマンチックなディナーを楽しむカップルでレストランはいっぱいだったようです。

 
さて、このバレンタイン・デー、欧米各国では恋人や夫婦同士でカードやプレゼントを交換したり、互いへの愛情を表現するロマンチックな日となっていますが、一説によれば、3世紀にローマ皇帝アウレリアンによって処刑されたテルニのカトリック司教バレンタインに由来するそうです。当時ローマ帝国は兵士の結婚を禁じていましたが、バレンタインは隠れて兵士たちに結婚を許していたため捕らえられ、見せしめのために、古代ローマのルペルカリア祭前日の2月14日に生贄として処刑されたといわれています。当時はまだキリスト教は異端で、迫害を受けていました。しかし、このバレンタインの殉死が、民衆の間でキリスト教が広く受け入れられるきっかけのひとつになったともいわれ、その後半世紀足らずでコンスタンティヌス帝は自らキリスト教徒になりました。

 
5世紀後半には、ローマ法王がキリスト教にとって異端であるルペルカリア祭を禁止。代わりに行うことにした行事の守護聖人を2月14日に殉教した聖バレンタインにしたそうです。

 
その後長らく2月14日は聖バレンタインを祝福する日とされ、人々の間では愛する気持ちを伝え合う日となってきました。ただし、1960年代半ばに開かれた第2バチカン公会議後の典礼改革で、聖バレンタインは史実上実在が不明な聖人とされたため、聖バレンタイン・デーも典礼暦からは除外されました。

 
さて、シンガポールでは欧米スタイルが主流とはいえ、日本の影響かバレンタイン・シーズンにチョコレートを見かけることも年々増えているようです。日本のホワイト・デーの話を面白がる人も多いので、3月14日にはマシュマロやクッキーをお返しに、というのも案外近いうちに見られるかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.116(2008年02月18日発行)」に掲載されたものです。

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