シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP本当にやるの?

社説「島伝い」

2008年10月6日

本当にやるの?

昨年5月の開催決定から1年4ヵ月あまり、9月末にシンガポールで初めてF1グランプリが開催されました。コースは、昨年フローティング・スタジアムが新設され、今年はシンガポール・フライヤーがオープンするなど開発が進むマリーナ・ベイ地区を周回する市街地サーキット、しかも史上初の夜間開催。国際自動車連盟(FIA)のコース基準を満たすべく、昨年10月以降ラッフルズ・ブールバードの拡幅、正面スタンド前道路の新設、舗装などの工事も行われました。今年2月にはチケットの発売が開始され、4月頃からF1関連イベントの情報なども増えました。これは、開催が近づくにつれて街もさぞや盛り上がることだろう、と思いきや、実際には9月の声を聞く頃になっても街の中でF1の気配はそれほど強く感じられませんでした。コースに近いエリアを通っていても、「本当にやるのか?」と思ってしまったほどでした。

 
F1グランプリの開催そのものは、関係者が着々と準備を進めてきたかいがあり、無事成功。照明に照らし出されて鮮やかに浮かび上がったサーキットは、一部凹凸が多い点に改善を望む声が出ていましたが、照明も良好とされ、約1年でよくここまで準備したと国内はもちろん海外からも賞賛されました。

 
だからこそ、街全体でもっと盛り上がりがあっても良かったのではないか、もっと国内外でPRして良かったのではないかとの思いが拭いきれないのが正直なところです。これは、シンガポールで開催される他のイベントでも言えることで、いいイベントなのにPR不足でチケットが余っていたり、観客席がガラガラだったりと、もったいないと感じることがしばしばあります。

 
シンガポールが獲得したF1グランプリ開催権は5年。更に5年の追加オプションも保持しています。来年にはマリーナ・ベイ地区のカジノ総合リゾートのオープンも控え、コース周辺がこれから更に賑やかになっていくのは間違いありません。世界的に景気が後退局面に入りつつあるものの、来年以降のF1グランプリは、シンガポール全体を引っ張るぐらいの勢いで大きく盛り上がることを期待したいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.131(2008年10月06日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP本当にやるの?