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社説「島伝い」

2009年7月20日

決めるのは自分

2009年前半は世界的な景気低迷を受けて多くの業種で厳しい状況が伝えられていましたが、日本からシンガポールへ進出した企業は意外に多かったようです。そんな中の1社の方と最近お会いする機会がありました。なぜ今シンガポール進出なのか、これからシンガポールでやろうとしている事は何か、どこを目指して進んでいくのか、様々なことを熟考した上でご自身の判断で物事を決められていて、シンガポールで活躍する日本企業がまたひとつ増えることになるだろうと頼もしく思いました。また、それと同時に、事前にしっかり考え抜くこと、最後は自分が判断を下すことの重要性を再認識しました。

 
シンガポールは、国外に対して早い段階から門戸を開いており、起業のしやすさ、明確な法制度、2010賦課年度から17%になった法人税率、就労のためのビザ取得の容易さなど、外国人でも事業を営み、暮らしていきやすい環境が整っています。その反面、安易に進出して失敗するケースも見受けられます。シンガポールは外国人にとって良い環境とはいえ、やはり海外であり、自国内では考えられないようなことが起きたり、文化の違いから来る考えの違いに愕然とする事もあります。問題に直面した時、誰かのことばに従って、あるいは何となく、といったことが理由だった場合、踏ん張りがきかないようです。挙句、「良いと言われたから来たのに、ダメだった」とすっかり他人のせいになっています。

 
企業や人が国と国とを往来する流れがあるのは非常に良い事ですが、やはり自国を出て進出するという判断は自らが下し、決めた以上はやり抜く覚悟が必要です。その覚悟ができていれば、困難や問題にも立ち向かうことができます。また、自ら考えた末での決断であれば、当初の予定とは違う展開になっても、そのまま進むべきなのか、あるいは方向転換を図るべきなのかも自ら判断できるでしょう。

 
これからシンガポールに進出される企業や個人が、明確な目的と決意を持って進出され、ビジネスで成果を上げるとともに、シンガポールに貢献できる存在になってもらいたいと願っています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.149(2009年07月20日発行)」に掲載されたものです。

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