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社説「島伝い」

2009年10月5日

成功を続けるために

第2回目の開催となったF1シンガポールGP。9月に入った時点では、チケットの販売状況は約80%と、去年同時期の約95%から大きくスローダウン。もちろん、昨年は9月半ばに起きたリーマン・ショックの前、好景気に沸いていた上に初開催ということも手伝って販売好調だったので単純比較はできませんが、今年の売れ行きはやはり芳しいとは言えませんでした。しかし、数日後には3日間通しの自由席と指定席エリア1ヵ所でチケットが完売。比較的高額なピット席などは当日まで販売されましたが、かなりの数のチケットが開催直前まで売れたようです。

 
市街地コースでの開催は、今年はシンガポールの他にはメルボルン、モナコ、バレンシアと全17戦中4戦。F1唯一の夜間開催でもあるシンガポールGPは、ドライバーにとっても観客にとってもやはり特殊なサーキットで、通常のサーキットにはない楽しみ方ができます。例えば、サーキット周辺のホテルの部屋やレストラン、あるいは観覧車の上からレース観戦を楽しんだ人達や、レースの興奮も冷めやらぬままパーティーへ流れて夜中まで盛り上がった人達もたくさんいたようです。

 
もちろん、楽しいことの裏には、その代償ともいうべき面もありました。まず、公道をサーキットにするため、莫大な費用がかかっています。さらに、開催期間中だけでなくその前後数日間は交通規制があり、シティエリアの主要道路が使えないために渋滞が多数発生。普段より移動に時間がかかったり、タクシーにサーキット周辺の目的地を告げて乗車拒否されたり、といった話も聞かれました。また、サーキットのエリア内にあるショッピングセンターや周辺地域の店舗では、交通規制が実施される期間中は客足が遠のくのが分かっていながらも、テナント料などのコストは通常通り発生するため、赤字幅を少しでも縮めるために営業せざるをえなかったところも多かったようです。

 
今年もシンガポールGPそのものは成功裏に終りましたが、来年以降の開催も成功を続けるために、市民生活に生じた不都合が解消されることが望まれます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.154(2009年10月05日発行)」に掲載されたものです。

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