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社説「島伝い」

2010年7月5日

大舞台に強くなった選手達

サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会での日本代表チームの活躍ぶりは、改めて言うまでもありませんが本当に素晴らしいものでした。時差の関係でほとんどの試合が日本時間の深夜や早朝に中継されたにも関わらず高視聴率をマークし、普段サッカーにあまり関心が無かった人達までも巻き込んで多くの人達に感動を与えました。

 
W杯直前の世界ランキングで45位だった日本が予選グループで戦った3ヵ国は、いずれも日本より上位のチームばかり。今年に入ってからも強化試合でなかなか得点を上げられず、開幕前は「予選突破も無理」というのが国内外問わず大方の予想でした。

 
その予想を見事に裏切り、日本はカメルーンやデンマークを破り、オランダ戦でも善戦して予選突破を果たしました。決勝トーナメント1回戦でパラグアイに惜しくもPK戦で敗れてしまいましたが、W杯開幕以降、試合を重ねるごとに急速に進化を遂げたチームは、岡田代表監督が掲げていた目標のベスト4を「夢物語」と揶揄されていたところから、現実的な目標として誰の目にも映るところまで辿り着くことができました。

 
今回、日本代表チームの選手達を見ていて印象に残ったのは、W杯という大舞台での緊張やプレッシャーに気後れすることなく堂々と戦い、実力を存分に発揮している姿でした。ひとつには、海外経験のある選手の増加が挙げられるのではないでしょうか。国内だけでなく世界各国のサッカーリーグで「武者修行」し、プレーの面でも環境の面でも揉まれて心身ともに逞しい選手が増えていることが、今回の日本代表チームにも大きくプラスになっていたように思います。

 
PK戦での敗退は、選手達も文字通り眠れないぐらい悔しい思いをしたことでしょう。時が経って、あの時負けたのはむしろ良かったのかもしれないと言えるぐらい、今回の経験で得たことを次に生かして、次回はもっと上の目標を掲げてももう誰にも笑われないような、更に強い日本代表チームの姿が見られることを期待します。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.170(2010年07月05日発行)」に掲載されたものです。

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