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社説「島伝い」

2011年1月1日

良い流れの中ですべきこと

リーマンショックで世界的に経済状況が急変した2008年、その影響を前半は引きずっていたものの後半には早くも回復の兆しが見え、GDP成長率も-1.22%と予想されたほどは悪くなかった2009年、そしてまさにV字回復を成し遂げ、通年で15%と高いGDP成長率が見込まれる2010年。経済指標などを細かく精査したわけではなく、あくまでも経験上の感覚的なものですが、ここ3年ほどの流れは、アジア通貨危機が起きた時とその後の流れにどこか似ているところがあるように思います。

 
1997年にタイ・バーツの急落に端を発した通貨危機の影響を受け、1998年はGDP成長率が-2%以下とマイナス成長だったシンガポール。しかしその後急速に回復して、1999年には6%超、2000年には9%を超える成長率を達成しました。その流れに呼応するように、1998年には1,600cc以下のカテゴリで2~3万Sドル程度だったCOEの価格が翌1999年後半は常に4万Sドル台と上昇。その水準は2000年後半に3万Sドル台に緩やかに下落するまで維持されました。不動産価格の上昇・下落もやはりGDP成長率をなぞるようであったと記憶しています。

 
2010年のシンガポールは、2つのカジノ総合リゾートが相次いでオープンし、8月のユース・オリンピック開催、9月のF1グランプリ開催と大きなイベントがいくつもあって国全体がダイナミックに動いた年でした。2011年もこの流れは続くと見られます。今年1年で何をやるかによって、その後の方向性が決まるといっても過言ではないでしょう。周りにあまり動きがない時に単独で動いても、大きな変化を起こすことは難しいものです。しかし、全体が動いている時は、同じ力でもより大きな変化を起こせる可能性が高くなります。流れが良い時にアクティブに動いて力を蓄えておけば、転換期にも柔軟に対応することができるでしょう。

 
新しい年はまだ何も描かれていない真っ白なキャンバスのようなもの。自分の色で2011年のピクチャを描くために行動し、1年を終える時に充実した良い年だったと思えるような絵があるようにしたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.181(2011年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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