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社説「島伝い」

2010年7月19日

企業のたしなみ

先日伺ったある会社の受付で、「○○さんとお約束していた者ですが……」と英語で伝えたところ、「ワチャネー」。シンガポール在住歴は決して短くないので、“Whatcha name (What is your name)?”と聞かれているのはすぐに分かりました。「名前は?」という尋ね方も随分ぶしつけだなと思いつつ名前と社名を告げると、今度は「ケー」。これも“OK”であるのは分かります。しかしその後が「テクシー」。ちょっと考えて、“Take a seat”と言われたのだと理解しましたが、見ず知らずの来訪者に「座って」というのは……。怒りはしませんでしたが、その会社に対しては残念ながら良くない印象が残ってしまいました。

 
イギリスやアメリカなどから来た人には、シンガポールの英語“シングリッシュ”はしばしば理解困難なようです。方言のようなものだと捉えて、むしろローカルの人と話す時は積極的に使った方が仲良くなりやすい、と私は考えていますが、やはり場面に応じた適切な表現を使えることも必要です。

 
シンガポールでは、正しい英語を話そうという運動“Speak Good English Movement”が2000年から進められており、海外の人々にも理解できる英語を身につけることを国としても奨励しています。また、F1、カジノ総合リゾートなどによる効果はもちろん、ビジネスの面でも様々な分野でシンガポールは国際的なハブとなっていて、外から人が集まる流れはますます大きくなってきています。外国企業の誘致にも国を挙げて積極的な中、シンガポールの英語は国際的に通用しない、というわけにはいかないことは、既に多くの人が気付いています。

 
日系企業といえども、シンガポールで活動する以上は無関係ではいられません。日本人はもちろん、そこで働くスタッフも、シンガポールの窓口のひとつとして英語で適切なコミュニケーションを取れることは重要です。大きな目で見れば、ビジネスチャンスをも左右する可能性があります。第一印象の大切さは個人だけでなく企業としてもいえること。きちんとした英語で対応できることも、シンガポールで活動する企業のたしなみのひとつでしょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.171(2010年07月19日発行)」に掲載されたものです。

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