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社説「島伝い」

2011年7月18日

日本に良い流れを作る

先日、経済産業省より「平成23年版通商白書」が発表されました。同省のウェブサイト上でも公開されています。白書によると、世界経済は新興国にけん引されて引き続き緩やかに回復、先進国より成長速度の速い新興国の存在感が一層高まるとのこと。また、新興国では人件費高騰が課題になりつつあり、労働集約型から自動化への転換期にあることから、日本の産業用ロボットなど世界的にも優れた自動化技術がその解決に貢献できるとしています。さらに、この20年で進んだ国際分業化や新興国での需要増を受け、日本企業が海外、特に新興国に進出することが重要で、経済産業省としても積極的に支援するというスタンスを明確にしています。

 
同白書では、2009年4月以降適用が始まった「外国子会社配当益金不算入制度(配当免税制度)」の成果が早くも現れていることが示されています。以前は海外での収益を現地で留保したり再投資することを優先させてきた企業も、海外子会社からの配当金を非課税とする同制度の元で日本国内への配当還元により積極的になり、日本での研究開発や設備投資などに活用する傾向にあるようです。「海外進出=日本からの流出」ではなく海外での収益が日本にも還流されることで現地だけでなく日本にもよりメリットをもたらせる、今までとは違った経済成長スタイルができつつあるのは喜ばしいことです。白書はまた、各国との経済連携等により、輸出競争力強化と配当還流の一層の円滑化への後押しが重要、ともしています。

 
配当免税制度開始前の、海外での収益が日本に還流しづらかった状態は、いわば鎖国のようなもの。外国との人やものの行き来を200年以上断っていた江戸幕府も、最後は開国せざるを得なくなりました。その結果、日本では明治維新と近代化というドラスティックな変化が起きたことは周知のとおり。門戸を開くことは、今までとは違う形でのプラスを生み出す可能性につながるといえます。東日本大震災後を経て見えてきた様々なことも踏まえて、今後の日本にとり良い流れが作られることが期待されます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.193(2011年07月18日発行)」に掲載されたものです。

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