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社説「島伝い」

2011年12月5日

ベストを尽くしているか

早いものでもう師走、今年もあと1ヵ月足らずとなりました。四季に恵まれた日本で生まれ育つと、様々な出来事の記憶を季節と結びつけて覚えていることがいかに多いかを、この常夏の島に来て気づかされたという人も多いでしょう。年間を通して気温が高く、最近雨季と乾季の時期さえ読めないシンガポールでは、日本のようなある一定のサイクルでの季節の変化というものがないせいか、さらに時の経過が早く感じられるようです。

 
年末はいずれの業界でも家庭でも慌ただしい時期で、自分はもちろん周りもせわしないので、ついいろんなことを後回しにしてしまいがちです。しかし、「そのうち必ずやる」は、往々にして実現しないものです。やらなくても大きくは差し支えないことであればまだ良いのですが、後になってできなかったことを後悔しても、時間を戻すことはできません。

 
また、渦中では「忙しくて他のことをする余裕などまったくない」と思っていても、後から落ち着いて振り返ってみると、忙しさに気を取られてゆとりを失っていただけで、実はそこまででは無かった、と気付くこともあります。忙しくてすべてに手が回らない、という状況はあるものですが、今やっておいた方が絶対に良いことや、今やっておかなければ後で取り返しがつかなくなることまで後回しになってないか、忙しい自分を冷静に見てチェックするゆとりを、心の中に残しておくべきでしょう。

 
時間は誰にでも平等に与えられていて、一日は24時間以上にはなりません。限られた時間の中で、少なくとも自分が納得できる時間の過ごし方をしているか、後になって「やっぱりやっておけば良かった」と悔いるような状況を作っていないか、今年のうちにやっておくべきことを年末の忙しさを理由に来年に延ばそうとしていないか、師走のひと月を自分がどう過ごそうとしているのか、ちょっと立ち止まって見直すゆとりを持って、今年やれることはすべてやった、ベストを尽くした、と言えるようにしたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.202(2011年12月05日発行)」に掲載されたものです。

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