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社説「島伝い」

2016年5月2日

「走り出す前にやること」

毎年4月から5月のこの時期がシンガポールで最も暑いとはいえ、今年は例年以上に暑さを感じます。それもそのはず、先月19日には1日の平均気温が30.6度と過去最高を記録、月の半分は日中の最高気温が35~36度に達していました。こまめな水分補給や十分な休息などの暑さ対策が普段以上に必要になっています。

 

日本で一番暑い時期は7月から8月にかけてであるため、この4月に人事異動などで日本から来てシンガポールに住むことになった方にとっては、思いがけない暑さとなっているかもしれません。シンガポールの気候について予備知識があったとしても、実際にこの常夏の気候の中で暮らしていくためには、身体が順応するまである程度の慣らし期間が必要です。しかし、赴任直後の数ヵ月間はうまく体調が整わず苦労した、という方が少なくないことから考えると、仕事の忙しさに取り紛れて自分自身のことはやはり後回しになりがちのようです。まずは、慣らし期間で生活のペースを作って体調管理を軌道に乗せることが、仕事で力を十分発揮するためにも大事でしょう。

 

同様に、仕事においてもある程度の慣らし期間はやはり必要です。シンガポールについては来星前からインターネットなどで相当な量の情報に接することが可能で、ニュースや在住者のブログなどでも情報を得ることができ、業務に関連する法律などの知識を深めることもできます。しかし、実際に当地で業務を行う中で初めて気づくことや知りえることも多々あります。

 

さらに、新しい職場環境に入ると、「最初が肝心」とばかりに無理をしたり、事を性急に進めてしまいがちですが、何もかもが新しい環境では、いきなり自分のやり方だけで走り出すのはむしろ遠回りをしてしまう危険性があります。まず自分自身を慣らしながら、当地でのやり方や現状の理解と把握を進め、気づいたことを整理してから、新しい提案を出したり、新たなやり方を試みても遅くはないでしょう。気がはやる時期こそ、「急いては事を仕損じる」という言葉を念頭に置いてみるぐらいでちょうど良いのかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.301(2016年5月2日発行)」に掲載されたものです。

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