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社説「島伝い」

2012年2月6日

便利さと引き換えのリスク

先日地元紙に、携帯電話の利用料金として35万Sドル(約2,125万円)を請求された男性の話が出ていました。半月ほど台湾に行った際、データローミングのオプションがオンになったままだったとのことです。その後請求金額は1万2,000Sドル(約73万円)になったそうですが、1ヵ月の携帯電話代としてはやはり高すぎる金額です。

 
携帯電話がシンガポールで普及し始めて日が浅かった頃は、マレーシアやインドネシアなどでも入国したらユーザが手動で設定しなければ、音声通話のローミングさえできませんでした。今はほとんどの携帯電話が滞在国のキャリアを自動的に検知し、国際ローミングを利用できます。また、ここ数年で携帯電話からのメールやインターネットの利用がシンガポールでも一般的になり、データローミングの利用も増えています。一見手軽で便利なサービスですが、仕組みをよく知らなかったユーザが海外旅行の後に請求金額の高さに驚き、苦情となるケースが一時期日本でも問題になっていました。

 
先日日本に一時帰国した際、一日$20で無制限にデータローミングが利用できるサービスを使い、ほぼ毎日メールをチェックしていました。手続きは毎日SMSで行ったのですが、後日受け取った請求金額はおよそ$1,800。何かの間違いではと問い合わせたところ、日本滞在中に2日だけ手続きがきちんとできていなかったことが判明しました。本来はサービスを利用するつもりであったことを説明しても取り付く島もなかったのですが、改めて別の担当者に問い合わせて事情を話したところ、最終的には金額をかなり下げてもらうことができました。

 
日本であれば交渉の余地はないと思われるようなケースでも、シンガポールでは相談したら変えてもらえた、というケースは実は良くあります。日本での事例や経験を元に判断するだけでなく、海外では違う場合もあることを踏まえてその土地での商習慣を確認したり、相手と話してみるなど、柔軟性を持って考えることは、海外在住者にとってリスク回避のための知恵ともいえそうです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.205(2012年02月06日発行)」に掲載されたものです。

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