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社説「島伝い」

2012年4月2日

イベント会場としての価値

先月下旬、フォーミュラ・ワン(F1)に関するニュースが相次いで報じられました。ひとつは、今年契約最終年を迎えるシンガポール・グランプリ(GP)の開催延長をめぐる交渉について。もうひとつは、F1の運営母体がシンガポール取引所(SGX)へ上場する可能性あり、というものでした。

 
F1開催がシンガポールにもたらした経済効果を示す具体的な数字は公表されていませんが、世界各国へのテレビ中継を通じたイメージ・アップや観光客数増加に一役買っているのは確かで、問題はマレーシアGPの倍と言われる開催権料の高さ。もっとも、F1商業権を持つエクレストン氏は以前からシンガポールGPを絶賛、長期的に開催されることを望むと明言しています。交渉はしばらく続くことになるでしょうが、おそらくは延長の方向に向かうのではないかとみられています。

 
一方で、10ページの記事「スポーツイベントの存続に暗雲、スポンサー撤退の恐れ」によると、バドミントンのシンガポール・オープン、ゴルフのLPGA公認女子選手権とシンガポール・オープン、トライアスロンのアイアンマン70.3の4つの大きなスポーツイベントの冠スポンサーが、今年を最後に撤退、もしくは契約終了年でありながら今後の継続が未定とのこと。人口約500万人の都市国家でスポンサーになることへの見返りはやはり限定的とみられているようです。

 
シンガポールの景気は、その勢いが緩やかになっているとはいえ決して悪くはなく、日本からの企業の進出も相次いでいて、注目度の高さが感じられます。経済が好調で人も集まってくる場所であれば、国際的なイベントのスポンサーになることはプラスになると単純に考えてしまいますが、市場として決して大きくない分、企業の判断は慎重になるのでしょう。

 
ただ、F1のSGX上場やF1シンガポールGPの開催延長について進展があれば、シンガポールで開催される他の国際的なスポーツイベントについても新たな動きが生まれることが考えられます。企業でも個人でも、新しい変化を見逃さないようにアンテナをしっかり張っておきたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.209(2012年04月02日発行)」に掲載されたものです。

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