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社説「島伝い」

2012年11月19日

シンガポールに必要な外国人

最近、シンガポール在住の外国人には気になるニュースがいくつか入ってきました。ひとつは、個人用労働許可証(PEP)の資格要件の厳格化。シンガポール国内の大学を卒業して当地で数年以上働いた経験がある外国人などがシンガポールで働き続けやすいよう、雇用主と紐づいているエンプロイメント・パス(EP)ではなく個人に対して発行する就労ビザとして2007年1月より導入されました。当初は、優秀な外国人の人材をシンガポールに惹きつけることが目的とされ、資格要件もEPホルダーとしてシンガポールで数年働けば満たせるような比較的緩やかなものでした。

 
しかし、今回一気に条件が厳しくなったことで、今後PEPから再びEPへ切り替えるケースが増えると考えられます。EPも今年1月から一段と発行基準が厳しくなっていますが、現在PEPを保持する人材が、EPの取得を断念してシンガポール国外へ流出、ということにならないよう、対策が求められるところです。

 
もうひとつは、医療、建設、メードの領域では将来的に外国人労働者がさらに必要である、という首相府人口・人材局からの発表。従来から言われてきたことではありますが、国が報告書として公表したことでニュースになりました。

 
ここ数年、不動産の高騰や通勤時間帯の公共交通機関の混雑の元凶として外国人の急増がやり玉に挙がり、国民の間に不満が溜まっていることを受けて、シンガポール政府はあらゆる分野で外国人の受け入れを制限してきました。その結果、人手不足で苦しんでいる業界もあります。

 
シンガポールはこれまで優秀な外国人を積極的に呼びこみ、人が集まることで経済成長を一段と加速させてきました。経済の拡大が新たな雇用創出にもつながり、シンガポール国民の失業率はかなり低い水準で推移しています。多くの国々がシンガポールの成功には一目置いており、その動向は注目されています。これからますます良い方向に向かうためにも、国籍によらず優秀な人材が活躍できる国であり続けることを願っています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.224(2012年11月19日発行)」に掲載されたものです。

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