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社説「島伝い」

2013年3月4日

二国間の新たな変化

本紙3ページの記事にもあるように、シンガポール~クアラルンプール(KL)間を結ぶ高速鉄道が、2020年の完成を目指して建設されることになりました。両都市の距離は約350キロメートル。東京~名古屋間の距離とほぼ同じです。

 
シンガポールとマレーシアは地図上で見ればすぐ隣。コーズウェイを渡ったところにあるジョホールバルまでは、シンガポールのシティエリアから車で通常30~40分程度で行けるので、仕事や買い物、食事などに大勢の人が気軽に出かけています。しかし、さらに足を伸ばしてKLまでとなると、車では片道だけで半日かかってしまいます。飛行機でも、空港までの移動や、搭乗手続き、出国手続きなどに時間を要するため、日帰りにするにはかなり早い時間から動くことになります。

 
高速鉄道によってシンガポール~KL間が90分で移動できるようになると、人の流れも仕事の流れも大きく変わることはまず間違いありません。2018年にはシンガポールとジョホールバルを結ぶ高速輸送システムも開通予定です。この二つの鉄道システムが揃えば、シンガポールだけでなく、マレーシアもさらに発展することが期待されます。そのインパクトは、おそらく2008年にシンガポール~KL間の航空路線が自由化され、格安航空会社が参入した時以上のものになるでしょう。

 
ジョホールバルからシンガポールへ通勤する人は既にいますが、2020年以降はKLから通勤する人も出てくることが十分考えられます。高速鉄道はジョホール州のイスカンダル・マレーシアも通る予定で、同エリアの開発が今後一層加速することも見込まれます。

 
二つの国がこれまで以上に近くなることは、シンガポールを拠点にビジネスを展開し、活動する我々外国人にとってもうれしいニュースです。より便利になって、我々の仕事や生活に変化をもたらすことはもちろん、例えば両国の為替レートなどにも変化が予想されます。さらに一歩進めて、変化の先に何がありそうかを想像しながら行動することで、変化がもたらすチャンスをしっかりと掴みたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.229(2013年03月04日発行)」に掲載されたものです。

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