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社説「島伝い」

2013年5月6日

最初の3分間が持つ意味

仕事でもプライベートでも、初めて会う人とあいさつを交わした瞬間から、相手のさまざまな面を見るものです。まず顔を見たら、服装や靴など身に付けているもの、バッグや筆記具などの持ち物、座り方、話す時のしぐさ、話を聞く時の表情、姿勢などなど、短時間に実にさまざまなことを見て、相手がどんな人なのかを掴もうとします。

 
このいわゆる第一印象が決まる時間帯は、おそらく最初の3分間。「良い人のようだ」、「何か一緒にやったら面白いことができそうだ」など、好印象を受けた人とは、その後の付き合いも長くなることが多いようです。

 
また、最初の3分間の印象は、良くても悪くてものちのちまで記憶のどこかに残っているもののようです。長い付き合いの中では、意見の衝突や、些細な行き違いで関係が悪化することもありますが、記憶の中にある相手の「最初の3分間」を思い出してみると、一時的な感情で見えなくなっていた相手の長所が思い出されて、相手と前向きに話すきっかけになったりします。

 
時には、周りからあまり良くない評判を聞いている人物と対面せざるを得ない場合もありますが、その評判を鵜呑みにして相手に会うと、初対面にもかかわらず相手をあまりよく思っていないことが言葉や態度に表れてしまうものです。「最初の3分間」でそれが相手に伝わってしまえば、相手にもあまりいい印象は残らないことになります。

 
背伸びして飾り立てる必要はありませんが、初対面の相手との「最初の3分間」の重要性を理解しているかどうかで差が出ることはいうまでもありません。自分の印象を良くするよう努めるだけでなく、相手のことも知ろうとする姿勢も大切でしょう。また、さまざまな国籍・文化をバックグラウンドに持つ相手と付き合うと、日本人同士では考えにくい苦労や悩みが出てくるものですが、「最初の3分間」を大事にすることで、良好な関係が築きやすくなるのは、実は変わりないことのようです。言葉が通じなくても、文化が違っていても、「最初の3分間」を見直すと今までとは違う展開が見えてくるかもしれません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.233(2013年05月06日発行)」に掲載されたものです。

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