シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP導入決定の背景に見えるもの

社説「島伝い」

2013年11月4日

導入決定の背景に見えるもの

今号のトップニュースにもあるように、マレーシアの来年度予算案の中で、2015年4月より物品・サービス税(GST)が導入されることが発表されました。

 
GST導入についてマレーシア政府が最初に言及したのは2005年度予算案。当初2007年1月導入予定でしたが見送られ、その後も幾度か導入が検討されては見送り、を繰り返してきました。しかし、石油関連収入に依存した財政構造からの脱却や慢性的な財政赤字の解消を図るためにもこれ以上先延ばしにできないこともあり、導入決定となったようです。

 
ちなみに、日本の消費税導入は1989年4月、シンガポールのGST導入は1994年4月で、いずれも導入時の税率は3%でした。マレーシアのGSTはその倍の6%で導入されます。これまでゼロだったものを一気に上げて大丈夫かと心配になりますが、低所得世帯向けの一時給付金支給や、製造業者および輸入業者に課される売上税(ほとんどの課税対象物品は10%)とホテルやレストラン、ゴルフ場などで利用者に課されるサービス税(6%)の廃止、生活必需品や公共料金、公共交通機関、住宅購入へのGST適用除外、法人税や法人所得税、個人所得税の減税など、国民や中小企業へのさまざまな配慮が見られ、よく考えられているという印象です。

 
消費税が来年4月から8%に引き上げられることになった日本でも、生活必需品の除外について議論がありましたが、線引きが困難なことなどから見送られました。運用面での問題はマレーシアでも今後おそらく出てくると考えられますが、どのように解決が図られるか、他の国々からも注目されるでしょう。

 
2015年にはASEAN統合、2018年にはシンガポールのMRTのジョホール・バルへの乗り入れ、2020年にはシンガポール~クアラルンプール間の高速鉄道開通などが予定されています。これから迎えるいくつもの大きなイベントを成功させるためにも、国家として財源確保は重要。マレーシアの国内事情だけでなく、周辺国との関係から生まれている流れの中で見ても、GST導入はやはり大きな意味を持つようです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.245(2013年11月04日発行)」に掲載されたものです。

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