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社説「島伝い」

2013年12月2日

海外在住者の特権

世界の多くの都市に在住する日本人について、日本人同士だけで群れがちとよく言われます。欧米人などは個人主義で単独行動も珍しくありませんが、日本人はやはり集団行動を好む傾向が強いということは事実でしょう。

 
海外では、母語ではない言語でのコミュニケーションに疲れたり、文化的な違いに壁を感じたり、といったことが日常的に発生します。その反動もあってか、同じ都市に住む日本人同士は結びつきやすい面があり、繋がりもより強いものになることが多いようです。

 
また、シンガポールでは様々な分野の国際的なイベントや会議が年間を通じて多数開催されており、各分野の世界的な第一人者や一流企業のトップなどがシンガポールを訪れた際に会う機会もかなりあります。日本ではまず会うことはなかったであろう立場の人の話を聞けたり、さらには1対1で会話することができた、という貴重な経験を持つ方も多いはずです。

 
さらに、趣味やスポーツを通じて他国在住の日本人と繋がりを持っている方も多いでしょう。近隣諸国にある日本人チーム同士での定期的な交流試合や、さまざまな国に在住する日本人が集まって自主開催で大会を開いている競技がいくつもあり、そこで知り合ったメンバー同士が後日商談で偶然再会、ということもあるようです。仕事上は初対面でありながら既に繋がりがある相手であれば、ビジネスにも大きなプラスとなることは言うまでもありません。

 
日本であれば繋がることはなかったような人とも、海外だからこそ繋がることができるというのは、海外在住者の特権。人と出会い、自分のネットワークを広げるというポジティブな意味で「日本人と群れる」ことも、決して悪いことではないでしょう。そして同じように、地元の人々や他国出身の人々と知り合う機会にも積極的に参加して、ネットワークを広げていければさらに良し。その繋がりは、シンガポールにいる間だけでなく、離れてからも何らかの形で生きてきます。人脈は貴重な財産。財産を増やすチャンスを逃す手はありません。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.247(2013年12月02日発行)」に掲載されたものです。

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