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社説「島伝い」

2014年1月1日

新しい流れに対応するには

東京で見かける主要なサービスや商品の名前を、シンガポールでも見かけることはもはや珍しくなくなりました。シンガポールはここ数年、日系企業にとってより一層進出しやすいマーケットになっており、進出による成功事例はもちろん、地元企業が日本をまねて類似のサービスを提供し、成功させているケースも少なくありません。そんな状況から、「日本のものをシンガポールに持ってくれば、何でも受ける」という錯覚にさえ陥りそうになります。しかし、成功事例をよく見ると、ただ日本のサービスや商品をシンガポールに持ちこむだけでなく、自分達のこだわりやスタイルという軸を守りつつ、現地に合うものを模索し、工夫しています。

 
海外進出に際して、タイミングを優先してまずは現地に行き、様子を見ながらその先の展開を考える、というケースが実はよく見られます。柔軟な対応を可能にする良策となる場合もありますが、裏に「うまく行かなかったら手を引けばいい」という本腰ではない考えが見え隠れすることも……。一方で、事前に綿密なマーケティングや調査を行った上で現地でのビジネスプランを練り上げ、進出時点からその実現を目指して取り組んでいるケースでは、うまくいくための方法が常に考えられ、工夫がなされています。その本気度に前者との大きな違いが見られることも多く、おのずとビジネスの結果にも表れます。

 
市場の流れは人が作るものです。市場を形成するプレイヤーの数が増え、市場が成長すれば、その流れはより大きく強いものになります。シンガポール進出が単なる“ブーム”ではなく本格的な流れとなる局面を迎えつつある今、まねるだけや同じことを繰り返すだけでは早晩通用しなくなるでしょう。

 
新しい流れに対応するには、ビジネスに関わる一人一人が本気で考え、自社や自分自身の軸をしっかり持って、成長し続けることが求められます。そんな中で、細かい点まで注意を払い、より良いものを追求することに長けた日本人の気質は必ず強みになるでしょう。より大きな流れにも負けることなく、今年も成長し続けていきたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.249(2014年01月01日発行)」に掲載されたものです。

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