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社説「島伝い」

2014年2月17日

つぶやきは災いの元?

先月中旬、シンガポール在住のイギリス人男性が、息子の写真をソーシャルメディアに投稿した際に書きこんだコメントが多くの人々の反感を買い、ネット上で大騒動に発展してしまいました。この件に言及したシャンムガム法相は、男性の非礼なコメントに対して多くのシンガポール人がそろって反論したことは良しとしつつも、男性の家族にまで攻撃が及ぶことのないよう望むと語りました。しかし騒動は一向に収まらず、過度な誹謗中傷のコメントや脅迫のメール・手紙が男性の元に届く事態に。ファンドマネージャーの職も解かれた男性は、先月末までに家族と共にシンガポールを出国したと伝えられています。

 
男性のコメントは冗談であったとしても許される内容ではなく、各国の人々からも非難の声が多数上がりました。

 
ソーシャルメディアを発端としたトラブルはもちろんこれが初めてではなく、個人の生活に大きく影響する事態になったケースはいくつもあります。中には、何気ない投稿から行動パターンが知られてストーカー被害に遭った例も。また、友人が「面白い」と動画のリンクを紹介しているのを見て、いくつかの画面をたどってみたら、実は途中で動画再生アプリとソーシャルメディアとの連携が設定されていて、動画を見たことが自動的に投稿されて大慌て、といったケースもあります。

 
問題を避ける一番簡単な方法はソーシャルメディアを一切利用しないこと。しかし、ソーシャルメディアは便利で有益な点が多々あるからこそ広く普及・発展してきたもので、これからますます仕事にも生活にも欠かせないものになることは確実。慎重に、かつ上手に活用する方法を考えたいものです。

 
ソーシャルメディアでは、たとえ個人的な意見をつぶやいただけに過ぎなくても、自分の日記帳に綴ることとは明らかに異なります。各個人のページは、社会に対する情報発信であり、新聞や雑誌などのメディアと変わりないのです。ただし、自分の発する情報に責任を持ち、情報の受け手の立場を配慮することで、人生を揺るがすような災いに見舞われたり、誰かに被害を与えるリスクはほとんど減らせるでしょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.251(2014年02月17日発行)」に掲載されたものです。

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