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社説「島伝い」

2014年5月5日

明るい兆し

今年1月から3月の乗用車登録台数で、日本車の順位が上がったことがわかりました。昨年通年3位だったトヨタ自動車と同8位だった日産が、それぞれ2位と5位に浮上。トップ10には日本のメーカーが計4社入っています。さらに車種別ではトヨタ自動車のカローラアルティスが首位になりました。

 
2009年前半には数千Sドルに下落していた乗用車の新車購入権(COE)価格が、GDP成長率15%を記録した2010年以降またたく間に上昇。COE発行数削減とも重なり、2013年初めには小型車向けのAカテゴリーで9万Sドルを突破、高級車向けのBカテゴリーも2012年から2013年にかけて度々9万Sドルを超えました。ちなみに、2010年初めのカローラアルティスの新車価格は7万Sドル弱。車両本体価格と輸入税、追加登録料、GSTなど諸費用が含まれた価格の方が、ここ数年のCOE価格を下回っていました。

 
COE価格の高止まりと共に乗用車登録台数で日本車が占める割合は急速に減り、代わって欧米メーカーの高級車が上位を占めるように。2000年代には年間7~8万台に上っていた日本車の販売台数は2011年以降は1万台以下と、好調なシンガポール経済とは裏腹に、すっかり下火になってしまったように見えました。さらに、トヨタクラウンを多数所有していたタクシー業界最大手のコンフォートで、韓国・現代自動車のソナタへの切り替えが進み、韓国車の存在感も大きくなっていました。

 
しかし、今年2月のCOE枠組みの変更を境に、日本車が再び注目され始めているようです。品質にも定評がある日本車は、日本ブランドを象徴する製品のひとつ。まだ直近の四半期の結果だけとはいえ、日本車がランキング上位に戻ってきたことは、やはり嬉しいニュースです。

 
シンガポールでは近年、日本の商品やサービスなどが一段と増え、多くの人々がその高い品質に信頼を寄せています。今後もさまざまな“日本のもの”に注目が集まり、シンガポールの人々にとって日本がより身近で親しみあるものになれば、日本にとっても大きなプラスになると期待しています。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.256(2014年05月05日発行)」に掲載されたものです。

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