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社説「島伝い」

2014年11月17日

異色の組み合わせ

今号9ページの記事にあるように、日本でパン・洋菓子製造を手がける老舗企業の浅野屋が、日本車の販売で有名なシンガポール企業タン・チョン・インターナショナルとの合弁で、カフェを併設したベーカリーショップをオープンしました。タン・チョンにとっては初めてのフードビジネス。一方の浅野屋もこれが海外初進出。かなり異色の組み合わせですが、異業種同士が手を組んで新たなビジネスを展開するケースは、最近シンガポールでも増えているようです。
従来は、同業もしくは同じ業界で得意分野が異なる企業同士によるパートナーシップがほとんどでした。文化や商習慣が異なる海外に進出する際も、パートナーが同じ業界・業種であれば共通点も多く、互いを理解しやすいと考えられます。
一方で異業種のパートナーと組むことは、共通点は少ないものの、新しいものを生み出すにはむしろ向いていることが多いようです。従来型のパートナーシップで得られる効果が足し算であるとすれば、異業種同士のパートナーシップは、掛け算の効果を期待できる可能性もあります。
さらに、ビジネスでは機を制することも重要ですが、自社や業界内に無い経験やノウハウが異業種の企業からもたらされることで、大幅なスピードアップが図れることもあります。手前味噌になりますが、弊社が発行する英語媒体『OISHII』では、シンガポールの旅行会社と提携し、紙面で特集した都道府県へのパッケージツアーを案内しています。メディアである弊社が自社で旅行会社としてのノウハウを身に付け、ツアー商品を開発・販売するには途方もない時間がかかってしまいます。しかし、地元の旅行会社の力を借りることで、媒体での情報発信のタイミングに合わせたパッケージツアー販売を、短期間でかつタイムリーに実現できました。
自分達にできることを元に事業を組み立てることもひとつの方法ですが、先に何をするかを決め、次にどうやって実現するかを考えることで、より早く、ダイナミックに動くことが可能になります。異業種同士のパートナーシップやコラボレーションを、ビジネスの良い流れとして積極的につなげていきたいものです。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.269(2014年11月17日発行)」に掲載されたものです。

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