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社説「島伝い」

2015年3月16日

仕事で輝く女性の増やし方

シンガポールで地元企業の女性幹部が責任者として出席すると、「女性なのにすごい」といった感想が日本人の方から聞かれることがあります。決して女性蔑視ではなく、日本ではそういう場面がそれだけまだ少ないということでしょう。
日本でも男性と同じような職務や責務を担う女性は、以前に比べれば増えてはいます。今号のニュース記事にもあるように、日本の企業の管理職に女性が占める割合は19%。アジアの平均は29%、シンガポールは27%でした。ただ、19%という数字を見ても、女性管理職がそれほどいるという実感はあまりありません。考えられるのは、管理職としての職務や責任範囲の違い。管理職の肩書を持っていても、例えば合弁事業などに責任者として折衝にあたるといった大きな職務を任されている女性管理職は、日本の企業ではまだまだ少ない印象です。優秀な女性が少ないから、という訳ではもちろんないはず。性別に関係なく責任ある仕事を任せることが当たり前で、その人が持つ能力をフルに発揮できる環境であれば、男女を問わず期待する成果を出せるはずです。
シンガポールでは、「女性がいきいきと働いて活躍している」という声もよく聞かれます。シンガポール国民だけでなく、日本や他国出身の外国人でも活躍している女性は確かに多いと感じますし、その姿に憧れてシンガポールで働くことを決めた女性も少なくないようです。また、日本とはさまざまな面で異なる海外で活動する企業や組織にとって欠かせない、順応性や適応力の高さを持っているのは、やはり男女比や年齢層の偏りの少ない、バランスの取れた企業や組織が多いようです。
日本国内はもちろん世界的にも女性の活用が叫ばれ続けていますが、大事なのは女性管理職の比率アップを目標にした取り組みではなく、性別や年齢を問わず優秀な人材が能力を発揮でき、全体の底上げが図れる環境を早急に作ることではないでしょうか。それはまた、少子化による特に若手の労働人口減という問題に対しても有効な解決策の一つになるでしょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.276(2015年03月16日発行)」に掲載されたものです。

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