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社説「島伝い」

2015年4月6日

頑張りに対する評価

何かに失敗した時に、「ベストを尽くしたがダメだった」という言い方がされることがあります。また、「一生懸命頑張った上でのことだから、失敗は仕方がない」というフレーズもよく聞かれます。
しかし、特にビジネスでは、ベストを尽くすことや一生懸命頑張ることだけでなく、最終的には結果が問われます。結果が出なくてもそこまでの頑張りを評価してほしい、という考えは通用しません。良い結果につながっていないということは、仕事への取り組み方やプロセスなどに何か欠陥があり、是正が必要ということ。失敗から学び、成長のきっかけにできるというのは、あくまでも次善のことです。まずは、今すべきことは何かをしっかり考え、必要なことをタイムリーに実行し、ベストの結果を出すための取り組みを積み重ねていくことが重要です。結果が伴えば、その過程での頑張りに対する評価はおのずとついてきます。

 

先月23日に亡くなったシンガポール初代首相のリー・クアンユー氏は、まさにその好例でしょう。資源に乏しい小さな島でありながらマレーシアからの分離・独立を選択せざるを得なかったシンガポールを率いて、経済発展のためのあらゆる施策を実施、さまざまな困難を乗り越えて一大都市国家を作り上げたことは周知の通りです。しかし、国の発展に人生を賭したことに拘らず、自らの功績をむやみに誇示することもありませんでした。国民には、多民族・多言語社会でありながら国として一つにまとまることを常に求め、時には非常に厳しい施策を実施することもありました。それでもなお、シンガポールのために長年尽力した氏への感謝の思いを抱く国民が多く、その功績が高く評価されていることは、氏の遺体が安置されていた国会議事堂や国内各地に設けられた記帳所に足を運んだ人々が4日間で120万人以上いたことにも端的に表れています。
将来的な成功に繋がる判断や行動によって結果を着実に出し続け、国内外で高い評価を得たリー氏は、グローバルな競争社会に生きる我々にとっても最良の手本といえます。リー氏のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.277(2015年04月06日発行)」に掲載されたものです。

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