シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP「ヘイズ対策は誰がすべき?」

社説「島伝い」

2015年10月5日

「ヘイズ対策は誰がすべき?」

9月に入った頃からシンガポールでもヘイズ(煙害)の影響が見られるようになっていましたが、中旬から下旬にかけて大きく悪化しました。大気汚染の指数であるPSIは、25日に今年の最高値である351を記録、シンガポール国内の小中学校は臨時休校となりました。25日以外にも、PSIが100を超えたために運動会など屋外でのイベントが中止・延期となったケースがかなりあったようです。在シンガポール日本国大使館では、ウェブサイト(www.sg.emb-japan.go.jp)でPSI数値の読み方や対策などを紹介して注意を呼び掛けています。

 

ヘイズは、見た目には霧が立ち込めている時と同じように見えますが、空気を白くしているのは水滴ではなく煙。焦げ臭いにおいは不快ですし、何もかもぼんやりかすんだ状態が何日も続くと、言い難い閉塞感を感じます。このままシンガポールで雨季が始まる10月下旬から11月頃までヘイズが続く可能性があるとも言われていますが、近年は雨季と乾季の境目があいまいなことも多く、雨季が来るのをただ待っている訳にはいかないのでは、という危惧もあります。

 

日本でもPM2.5などの大気汚染物質が問題になっていますが、ヘイズのような現象はなかなか理解されづらいようです。「本社は何もわかっていない」、「マスクの箱を送ってくるだけで何もしてくれない」といった声も聞かれます。この状況を経験したことの無い人に、現地でどれだけ困っているか理解せよと言っても、なかなか難しいのが現実。シンガポール政府や大使館からの注意喚起を基に、段階別の対応をガイドラインとして予め決めておき、本社の了承を取っておく、といった対策も必要なのかもしれません。

 

ヘイズが悪化すると、健康な人でも目やのどに刺激や痛みを感じたりします。心臓疾患やぜんそくなどの持病があればより影響を受けやすくなります。誰かが対策を取ってくれるのを待つのではなく、各自の状況に即したリスク対策を取って、まずは自分で自分自身を守る工夫も大事です。海外で働く身として基本の一つといえることでしょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.289(2015年10月05日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaX社説「島伝い」TOP「ヘイズ対策は誰がすべき?」