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社説「島伝い」

2015年8月17日

「次の50年への期待」

年間の祝日数が隣国マレーシアや日本に比べて少ないシンガポールですが、今月は建国50周年を祝して7日が特別に祝日となり、9日の建国記念日も含めて4連休となりました。例年8月上旬は在星日本人の多くが一時帰国する時期ですが、今年は少々流れが異なっていたようです。この8月をシンガポールで過ごすべく、一時帰国を7月にしたという話をよく聞きました。早い時期から「SG50」やユダヤ教の50年に1度の祝賀に由来する「ジュビリー・イヤー」の文字を目にする機会が多く、いつもとは違う特別な雰囲気があったことなどから、建国記念日前後の盛り上がりを実際に目で見て感じたいと考えた方が多かったようです。
8日夜には、リー・シェンロン首相から国民に向けた「ナショナル・デー・メッセージ」がテレビで放送され、首相府のサイト(www.pmo.gov.sg)でも公開されましたが、建国以来50年間の歴史を振り返る内容が随所に含まれ、発展した国として50周年を祝福する喜びが語られていました。23日夜の建国記念日大会でもリー首相の演説が予定されており、例年以上に注目を集めることになりそうです。
毎年この演説の中でシンガポールの今後の方向性を示す重要な施策が発表されますが、今回は50周年という大きな節目であることに加えて、建国の父リー・クアンユー元首相が3月に亡くなってから最初の建国記念日大会。リー元首相の後を継いでシンガポールの繁栄のために取り組んできたゴー・チョクトン名誉上級相の代を経て、現在第3代首相を務めるリー首相が、次の50年に向けてこの国のベクトルの先をどのように示すのか、総選挙開催が近いと見込まれていることなどからも、国内だけでなく海外からも注目度が高まっています。
シンガポールという国が建国以来目指してきたのは、人種や言語、宗教の違いを超えて団結し、すべての国民がこの国の繁栄を享受できるようにすること。過去50年間の取り組みの成果は、日本人を含めシンガポールに暮らす多くの外国人にも恩恵をもたらしています。シンガポールの次の50年がどのように示されるのか、在住者としても演説の内容に期待したいと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.286(2015年08月17日発行)」に掲載されたものです。

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