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表紙の人

Vol.282

2015年6月15日

曽根﨑 桐子さん

医師(総合診療科/糖尿病専門医)、医学博士、ピラティスインストラクター。

医師(総合診療科/糖尿病専門医)、医学博士、ピラティスインストラクター。千葉県出身。1998年千葉大学付属病院第二内科(当時)に入局。糖尿病腎症研究で医学博士を取得。当時、一般内科診療で糖尿病患者と数多く接するなかで一つのジレンマを感じるようになった。

糖尿病の改善には食事療法と運動が不可欠だが、運動をしていない人が急に体を動かすと、膝の故障など別のトラブルを招くことがある。かといって運動を止めると病状も好転しない。運動に馴染みのない人でも安全で楽しく続けられる運動療法を模索し、たどり着いたのがピラティスだった。
しかし、日本でピラティスは今ほどポピュラーではなく、本場の指導者を求めて渡米。理学療法クリニックで研修を重ねながら、2008年に国際リハビリ系ピラティス指導資格を取得した。一方で大学にも通い、運動生理学、運動心理学などを履修。米国スポーツ医学会健康運動指導士認定資格や、コロラド州救急救命士など、向学心の赴くまま修了した。しかし、意外なことにもともと運動は得意でないという。「自分が運動オンチなので、運動が苦手な患者さんの気持ちはよく分かります(笑)。でも、だからこそ相手の立場に立った教え方や、伝えられるコツがあるのではないかとも思っています」。
日本とアメリカを行き来する生活が3年ほど続いた中、知り合いの理学療法士からシンガポールのピラティススタジオのインストラクターに誘われる。下見に訪星した際、日系クリニックからも偶然、求人の声がかかった。医師とインストラクターを両立できるチャンスと思い、2011年に渡星した。当地では総合診療科で、幅広い症状の患者を診察している。総合病院の専門医だった頃とは180度違う環境だ。「高度な最先端医療を追い求めるより、私は身近な町のお医者さんでいたい。体が不調な時にまず頼ってもらえる存在になりたいです」。
アメリカで学んでいた頃の向学心も健在で、現在はシンガポール国立大学とシンガポール家庭医学会合同のディプロマコースに通い、当地学会の認定医取得を目指している。休みはほぼないと言うが、充実した様子が晴れやかな笑顔から伝わってきた。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.282(2015年06月15日発行)」に掲載されたものです。

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