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表紙の人

Vol.298

2016年3月21日

風呂井 郁子さん

RICOH (SINGAPORE) PTE LTD Business Manager

広島県広島市出身。今年で在星20年を迎える。来星当時を振り返ってもらうと、「昔はオーチャードをパジャマのような格好で歩く人や、スッピンの女性も結構いました。まさかシンガポールがここまで経済的に発展するとは思ってもみなくて。今では日本食レストランも随分増えましたね」と、長期滞在者ならではの感想を話してくれた。

 

英語が大好きで、高校や大学でも英語を専門にして学んでいた風呂井さんは、いつか海外で働きたいという夢を持っていた。地元で外国人旅行者向けの英語ガイドや国際交流プログラムで来日する外国人のホームステイの受け入れ活動を行っていたある日、シンガポールの日本語教師のインターン募集広告を見つけ、これはチャンスだと応募に踏み切り来星するに至った。しかし、思いがけぬアクシデントがあったという。「指導未経験者だったので最初の半年間は指導係がつくと聞いてきたのに、入社するとその人は諸事情で既に退社した後。急遽クラスを持たされることになりました。もちろん無理だと断りましたが、できないなら日本に帰ってくださいと言われてしまい、今さら帰れないと気持ちを切り替えて指導法を猛勉強することにしました」。その後は休日も返上して授業の準備に没頭。その結果、1年が経つころには学生への指導も上達し、努力と成果が認められて正式に教師としての採用が決まった。

 

約3年務めた日本語教師は、新しいことに挑戦したいという思いと、シンガポール人の伴侶との結婚を機に区切りをつけた。その後は事務職、主婦、日系企業の営業職などを経て、2009年リコー・シンガポールに入社。当時は導入されていなかった日系企業をチームで担当することを提案し、翌年にそのチームが結成されると同チームのビジネスマネージャーを任され、現在はローカルの営業スタッフ5人と日本人1人を束ねている。
プライベートでは昨年、和服を着てシンガポールの街を歩く「WIS会(Wafuku In Singapore)」を友人と立ち上げ、月1回、レストランやバーなどを訪れるのが楽しみ。「着物を持ってきたのに着る機会がないという方、男女問わず募集しています。この会を通して、日本人とシンガポール人の文化交流を深めていけるようにしたいですね」と展望を語った風呂井さん。シンガポールに根付く日本人女性の代表として、これからも多くの人に日本文化の良さを伝えてくれそうだ。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.298(2016年3月21日発行)」に掲載されたものです。

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