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表紙の人

Vol.280

2015年5月18日

藤代 亜弓さん

IPPIN PTE.LTD. マーケティングマネジャー/一般社団法人伝統芸能国際化協会 理事

asiaxモハメド・サルタン・ロードにある日本の地域産品を扱うアンテナショップ兼カフェバー「極品(IPPIN CAFÉ BAR)」。店内の棚には日本各地の特産物や日本酒が並び、奥のカフェではお店で扱う日本の食材を使ったランチや、日本酒が味わえる。その店内で元気な笑顔を見せる、藤代亜弓さん。

祖母が日本舞踊家、おじが人形浄瑠璃の大夫という伝統芸能一家に生まれる。自身も日本舞踊と三味線を習い、芸能に親しんできた。だがそれでも自身の知識不足がコンプレックスだったという。「舞台の楽屋に遊びに行った際、専門用語での会話が分からず『こんなことも知らないのね』などと言われたこともあります。知識不足な自分が恥ずかしかった」。その経験から共立女子大学で劇芸術コースを専攻。伝統芸能に加え、映画や演劇漬けの4年間を送った。
大学卒業後は総務のアウトソーシング会社に入社するが、突発性難聴になり、退社を余儀なくされる。体の回復を待って父が経営する現在の会社に入社、昨年9月より本格的にシンガポールでの勤務となった。現在はマーケティングとアンテナショップ兼カフェバーの運営全般を担当している。「福建語で”BAO KA LIAO(バオ カ リァオ)”という、”マルチタスクの人”を意味する言葉があるのですが、まさに今はその状態(笑)。人事からお店の運営管理、イベントの設営まで何でもやっています。大変な時もありますが、いろいろなことを勉強させてもらえて、ラッキーだと思っています」。
プライベートでは友人と飲みに行くのが楽しみ。マリーナベイ・サンズのお洒落なバーも訪れる一方、気さくなローカルのお店にも顔を出す。
現在では父親が立ち上げた伝統芸能国際化協会(互=tagai)の理事として、日本で衰退しつつある長唄や三味線といった伝統芸能を海外に紹介し支援する活動もしている。「日本の特産品も伝統芸能も、国内での需要は減っています。今は国外に出て『日本にはこんなにいいものがあるんだ』ということを知ってもらい、需要を創る必要がある。その後押しになるような場を提供していきたいです」。
事業が安定したら、大学院で再び劇芸術を学びたいとの夢もあるそうだ。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.280(2015年05月18日発行)」に掲載されたものです。

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