木村聡さん
AsiaX Vol.118
シンガポールキヤノン社長として今月来星、これが2度目のシンガポール駐在。豪州、中国、フィリピン、マレーシアにも駐在し、海外駐在通算21年。「ミスター・アジア・パシフィック」と呼ばれるほどアジア・パシフィック地域での業務にも精通している。
「思索より行動を大事にする」スタイルは、活発だった子供時代からのもの。
前回のシンガポール駐在は1982年から1990年に滞在し、草創期にあった同社のビジネス基盤を確立すべく奔走した。懐かしい場所へ今回社長として戻って来て、同社がこの地で定着し発展している様子を目の当たりにできたことが嬉しく、「自分は本当に恵まれている」と喜びを表した。
約17年ぶりに見たシンガポールの目覚しい変貌ぶりには本当に驚くばかり。一方で、今でもフードセンターがあり、安くておいしいローカルフードが楽しめることが嬉しかった、とも。
東京で生まれ育ち、幼い頃から家にじっとしていない「ヤンチャ坊主」。大学入学前には「日本を見てやろう」と東京から沖縄まで自転車での縦断を敢行した。沖縄返還直前で、まだあちこちに残っていた戦争のつめ跡を見て、日本だけで何百万人もの戦死者を出した戦争の意味を考えさせられ、「日本のために何かができる人間になりたい」との思いを抱いた。その思いが、のちのち困難な場面でも自分を支えてきているという。慶応大学在学中には、バックパックでインドやヨーロッパを数カ月間めぐった。この時異文化に触れ合い、外から眺めたことで改めて日本を意識した。
資源国ではない日本の発展に貢献するなら、何かを作り輸出することだと考え、キヤノンに入社。4年目から赴任したシンガポールを皮切りにオーストラリア、中国など5カ国に駐在し、フィリピン、マレーシアで社長も歴任した。
座右の銘は、中学時代の塾の先生が教えてくれた「運鈍根」。いくら頑張っても運がなくてダメな時もあるが、誰でも必ず一度はチャンスがある。少々のことではめげず、日々地道に積重ねていく人が強いのでは、と考える。
好奇心旺盛で、オーストラリアではフルートをマスターするなど行く先々で様々なことに挑戦してきたが、趣味をしいて挙げるならゴルフ。余暇ができたら「ボーッとしたい。好きな本を枕に昼寝ができれば最高」ということばからも、その多忙ぶりが伺える。「これからも地域の人に愛される会社にしたい。10年先に残る、いい仕事をしたいね」と意気込みを語る氏が「好きな本を枕にゴロゴロ」できるのはしばらく先のことになりそうだ。
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