コラム

武蔵野便り

がんばれシンガポール代表

このところ周りで物議を醸しているのが、サッカーW杯アジア一次予選最終戦、シンガポール戦(11月17日・埼玉)だ。
日本代表にとっては、すでに二次予選出場を決めているから、完全な消化試合。その試合に、ジーコ監督が「レギュラー選手を休ませ、代わりに代表チームに功績があった選手を招集したい」という意向から、カズ(三浦・神戸)やゴン(中山・磐田)ら“ロートル”選手を呼ぶと言い出したものだから、サッカーファンたちが大騒ぎを始めてしまったのだ。
いろいろな意見を聞いていくと、まさに賛否両論。感じとしては、50対50のイーヴンだ。熱烈なサッカーフリークである知人のカメラマンA氏は、次のように語る。
「ボクは反対です。カズやゴンは好きだけど、W杯予選なんだから、ここは出場機会のなかった控え選手たちに経験を積ませるべき。一次予選を突破して、ジーコ監督はすでにW杯に行ける気になっているけど、二次予選は相当厳しいはず。こんなところでのんびり“代表引退記念試合”をやっている場合じゃない。だいたいW杯予選という公式戦で、そんな選手を呼ぶこと自体、相手のシンガポールに対して失礼だと思う。シンガポールって、プロリーグもあって、サッカーが盛んなんでしょ? すごく失礼ですよね」
もう一人、ブンデスリーガの高原を見にドイツまで行ったこともある、サッカーフリークの編集者B子さんの意見。「え〜、わたしはどっちでもいいよ。ジーコが(カズやゴンを)呼びたいっていうなら呼べばいいし、呼びたくないなら呼ばないでいい。そういうのは監督が決めることだから。シンガポールに失礼? うーん、失礼だと思うなら、そんな試合をされないように、(シンガポールが)もっと強くなるべきでしょ」
ちなみに、代表レギュラー選手が出場しないという報道がなされた後、試合のチケットがダフ屋に流出し始め、興行的に試合の成立が危うくなっているという。つまり、客の呼べるゴンやカズの出場は、スポンサー的にはありがたい“企画”なのだ。しかしここにきて、ジーコ監督は「功労という意味がきちんと受け止められず、物議を醸しているようなので、もう少しゆっくり考えたい」と、やや方向転換。どうなることやら。
個人的には、ここは、いずれにしても、なめられた感があるシンガポール代表に頑張ってもらい、“奢り高ぶっている”日本代表をギャフンと言わせて欲しいと思っている。

文=上條昌史(かみじょう・まさし)

東京都武蔵野市在住。週刊誌記者を経てノンフィクションライターとして活躍中。月刊誌を中心に事件取材、企業取材を手がける。共著に『殺人者はそこにいる』(新潮文庫)他。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.019(2004年11月08日発行)」に掲載されたものです。
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