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嶋津良智の「リーダーにつける薬」

2011年11月7日

部下に仕事を任せられない上司

部下に仕事を任せることができずに、何でも自分でやらないと気がすまない上司、知らないと気がすまない上司って、皆さんの周りにいませんか?

 
さて、その理由はなんでしょうか?
「自分でやった方が楽」「教える手間が要らない」「自分でやった方が早い」など、そんなところではないでしょうか。しかし、その反面部下が育たないという副作用を生むことに気付いて欲しいと思います。

 
上司は部下より何のために高い給料をもらっているのか考えてください。上司の存在価値は、上司であるその人にしかできない仕事にチャレンジしていくことで示していくことなのです。

 
要するに、部下にできる仕事はどんどん部下に任せて、体験させて失敗させて歯がゆい思いをしながらでも我慢して育てていくことが大切なのです。部下でもできる仕事を上司がしていては話になりません。

 
私は常日頃から「部下を持つ上司の究極の仕事は、自分の仕事をなくすこと」と言っています。別に、上司は早く楽をしろと言っているわけではありません。上司は、どんどん自分の仕事をなくして、時間と労力が空いたら新しい事業や新しい仕事、更に上の新しい立場の仕事などにチャレンジしていく環境を作らなければ、組織が大きくなりません。
人に仕事が振れない人の中には、手柄を独り占めしたいからというケースや、仕事を奪われたくないから、という暇な会社に多い特殊なケースもありますが、やはり多いのは「心配」です。

 
自分なしで上手くできているのか、自分の意図したように進んでいるのだろうかと心配になる。そして、いざ出来上がってきたものや、経過を見ると、改善点やミスばかりが目に付き、ひどく気になり、結局一人でやった方が早いとなってしまう。そんなことの連続で、人に仕事を振るのがイヤになってしまうわけです。

 
むやみに投げっぱなしはどうかと思いますが、ある程度できるのなら、あとは、思い切って任せる勇気が必要です。でも、任せると言っても元々心配性の方はやっぱり気になってしまいます。
次回はそんな心配性な方の心配解消方法についてお話しましょう!

文=嶋津良智(しまづよしのり)


株式会社リーダーズアカデミー
代表、シンガポール在住。
2度の株式上場体験を活かし、日本・シンガポールを始め、アジアを中心に経営コンサルとして活動。世界9ヵ国12都市でチャリティーセミナー実施。
最強の部下を育成し、最強の組織を作る、業績向上のための独自プログラム『上司学』が好評を博す。著書7冊執筆、韓国・台湾でも翻訳されている。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.200(2011年11月07日発行)」に掲載されたものです。

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