先日、家族旅行を兼ねてタイのバーンサバイ(HIV患者を保護、支援しているNGO)へ幼稚園のご父兄からお預かりした募金を持って行ってきました。中学3年になる息子も何かを感じてほしいと思い連れて行きました。親に見捨てられ自暴自棄になり悪事に走り挙句の果てにエイズを発症し、バーンサバイに連れて来られた人々の悲惨な話。更に衝撃的だったのは、目の前に立つ先週まで生死をさまよっていたという青年。身長は息子と変わらない170センチ強、しかし体重は30キログラム。以前は、薬さえも飲もうとしなかったそんな青年が今は何とか生きようとしている姿でした。生命とは、生きるとは?普段の生活では当たり前すぎて考えもしなかったことが大きく問いかけられます。バーンサバイでは10年間で40人が社会に復帰し、23人がお亡くなりになったそうです。支援の内容は病気の治療や身の回りの世話だけでなく、社会復帰のお手伝い、その後のケアまでと、とても大変なお仕事です。そのバーンサバイを主催してらっしゃるのは小柄な日本人の女性Hさんです。どこからそのエネルギーと情熱が湧いてくるのか、感心と敬服の念を抱くとともに自分の小ささに身につまされました。
3時間ほど話をしている間、息子はつまらなそうに下を向いたり伸びをしたり。まだ、こういう話は早すぎたかと思い、帰りがけに「ゲーム機でも持くればよかったね。」と声をかけると、「何言っているの。Hさんの話、すごかったね。Hさん、カッコいいと言うか立派だね。」予想に反した息子の答えに、息子のことを分かっていない自分を深く反省しました。息子なりに、年齢も身長もほとんど変わらないのに、体重は半分以下、育った境遇は信じられない状態だった青年と会い、いろいろな思いを巡らしていたようです。言葉の端々に見られる感想は一皮むけた気がしました。帰り道、とても美しい夕陽を見ながら、想いました。バーンサバイでの体験が息子にとって大切な体験でありましたが、何年か経ったら、忘れてしまうかもしれません。しかし心の奥底の無意識の部分にはしっかりと入り込んでいるはずです。一つ一つのことをしっかりと受け止めて、人生の甘い所だけではなく、辛いところも、酸っぱいところも、薄めること無くしっかりと味わって生きて行ってほしいと思います。
文=峯村敏弘(Eisインターナショナル プレスクール園長)
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