コラム

Eis園長先生の教育談議

愛情の循環

「園長せんせー。マジックしてー。だっこしてー。だいすきー。」本当にありがたい仕事だと思います。特に、疲れている時、落ち込んでいる時など、力をもらい、心が癒されます。同時に、そのことによって自分の心が傷ついていたことに気づかされます。若い頃のように敏感に傷つかなくても、おじさんになってもいろいろなことで心は傷ついているものなのです。


成長するにつれて周りからの愛を受けにくくなります。傷は癒されぬまま心の奥へ奥へと押しやられます。痛みは忘れても傷は残ります。傷ついた心は臆病になります。不安から文句ばかり言うようになります。他人を信じられなくなります。自分を信じられなくなります。他人の喜びをねたましく思います。そして、他人の心を傷つけ、自分の心を更に傷つけます。意固地になり更に傷つけます。どうしたらこの不幸のサイクルから立ち直れるでしょう。


傷ついた心を癒すのは愛しかないのです。しかし、人からの愛を求めてもなかなかうまく行きません。求めて不満が募ったり、期待して余計に傷ついたりします。大切なことは心に愛のシャワーを与えることです、それは受ける愛ではなく出す愛なのです。愛情をいっぱいに出すことによってそれが跳ね返ってくるのです。愛情を出すことによって感謝の心が生まれます。感謝の心で周りを見てみると自分が愛されていたことに気がつきます。愛情を出すことによって心に愛のシャワーを浴びさせることができ、心は癒されるのです。自分を大切にする基本は愛情を他人に向けて出すことなのです。


愛情は循環です。子どもの頃に愛情を受けることから始まり成長するにつれて、自分が愛情を出すことを学び、循環が始まるのです。成長しても求めるだけですと、精神的に不安定になったり、引きこもりなったり、暴力的になったりします。自分を大切に愛するためには、幼児期にきちんと愛情を受け、成長するにつれて愛情を出せるようになることが大切です。愛情は使えば使うほど増えていくのです。


少しの愛でたくさんの愛情をいただける園長業は本当にありがたい仕事です。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.136(2008年12月15日発行)」に掲載されたものです。
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