コラム

Eis園長先生の教育談議

品質管理

愛用の鞄があります。毎日、幼稚園に来る時も、出張に出る時も手放せません。5年以上ほぼ毎日使っています。何度か目移りし、新しい鞄を使ってみたのですが、1週間もすると使いにくさに気づきもとの鞄に戻ってしまいます。特に何が優れているのでもない普通の鞄ですが、これがないと忘れ物をしたり、どこに入れたのか分からなくなってしまったり、仕事になりません。神田でたくさん本を買い、紙袋では手が痛くなってきたので買った鞄です。予算的にはかなりオーバーしていたのですが、店の人の説明では昔からの鞄メーカーで壊れたら修理してくれる等。なかなかの職人気質を感じてつい買ってしまいました。その時は特に良い鞄だと思っていなかったのですが、長い年月を経てじわじわとそのよさを感じます。本当に良いもの、質の高いものはこの様なものだと思います。


自分たちの仕事は、目の前にいる子どもの今と未来をどうしたら幸せに出来るかということです。しかし、ご両親にとって魅力的な活動と、そのこととが合わないことがあります。園長にとっては悩みどころです。悩んではいけないところなのですが、やはりどきどきします。どきどきしながらも、見た目の良いすぐに結果の出る保育ではなく、子どもたちにとって本当に大切、今だけではなく未来の幸せにつながる保育を選択します。ありがたいことに最近は、園長が間違った方向に行きそうになると、先生やお母様から「それはイーズの方針と違います。」ぴしゃりと言っていただけます。


日本では品質管理にいろいろと問題が生じてきています。品質の管理は一人では出来ません。特に独裁がはびこると、質はあっという間に落ちます。大切なことはたくさんの目が存在し、自由にものが言える状態を保ちその中でセーフティーネットが作られていくことなのです。教育の品質管理もまったく同じです。きちんとした目標を持ちその目標に向かう歩みがずれていないか、何度も良識のあるたくさんの人が注意していなければならないのです。そうしないと、教育の品質は保たれないのだと思います。


良い汗だけでなく冷や汗もたくさんかきながら、もっと子どもたちのためになることを求めたいと思います。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.122(2008年05月19日発行)」に掲載されたものです。
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