コラム

Eis園長先生の教育談議

大人の背中

昨年より音楽を使って親子で楽しみながら健全な親子のかかわりと社会性を身につけるミュージックセラピーのセッションを月一回イースト校でやって来ました。その中のルールで大切なことは子どもに強制をしないということです。子どもが参加したがらずにいる場合は自由にさせておき、親はそのセッションをみんなと一緒に楽しみます。すると、子どもは少しずつ近づき一緒に参加することが出来るようになるのです。逆に子どもを追いかけ回すと子どもはその親の姿を見て更に走り回ってしまうのです。「子どもにさせたいように親が行動する」ことが大切なのだそうです。


どんな風に子どもを育てたいですか?勉強も運動も一生懸命に努力をして、責任感が強く、リーダーシップがとれ……。期待は高まるのですが、自分の行動を見て子どもが育っていくのでしたら望みはかなり薄いような気がします。子どもの不出来な点に腹が立つのはあまりにも自分の欠点に似ているからなのかもしれません。子どもを叱るよりも親自身の生活態度を改めなければ子どもは変わらないのでしょう。


日本人学校中学部で来年度からチャレンジクラスがなくなるとの事、とても残念に思います。周りの大人の行動が次の日本人を作っていきます。この事で子どもたちは何を学びどのように成長していくのでしょうか?自分と同じでないものと共存ではなく排除を学んでしまったら日本の未来は恐ろしいことになると思います。誰でも年をとると障害を持ちます。元気な人と同じような行動が取れなくなった途端、その人は排除される側に回ることになってしまいます。


1000人に5人の割合で何らかの障害を持った子どもが生まれてくるそうです。これは自然の摂理であり、意味があることなのです。クラスで障害を持った子どもを受け入れると、お友達を待つことを覚え、手を貸すことを覚えていきます。愛情の出し方を学び、精神が安定し豊かに成長していくのです。障害を持った子どもの成長もさることながら周りの子どもの成長には驚かされ感動させられます。


日本での悲惨な事件を聞かされるたびに暗い気持ちになります。これからの日本人の精神を救う道は障害を持った人たちが暮らしやすい社会をともに築くことを真剣に考えることではないでしょうか。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.118(2008年03月17日発行)」に掲載されたものです。
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