「誕生日なんだから、お小遣いを頂戴よ。」「13歳の抱負を言いなさい。この一年間の目標もね。それが言えるまで、お小遣いはあげないよ。」そんな息子と妻の会話の最中、友人から電話があり、今日出産することになったとのこと。不安げな声に対して、「親がしっかりしないでどうする。絶対大丈夫だよ、神様に祈っているよ。」と言ったものの、その不安げな様子、気持ちは、痛いほど良く分かります。
13年前、受験業界にいた私は、2月の1、2、3、4日はほとんど徹夜状態、やっとゆっくり眠れると思った日の朝、妻の陣痛。他のことなどどうでもいい、子どもが無事生まれてくれれば、それだけを願っていた中、30時間かけて生まれてきた我が息子。その時の写真に写っている3人は、疲れは見えても満足そうな妻、くしゃくしゃな息子、ひげぼうぼうの私。何でも良いよ、幸せに育って欲しい。わが子だけを見つめ、わが子の幸せだけを願っている本当に幸せな日でした。
○○先生の息子さんは麻布に合格したんだって、△△先生の娘さんは桜蔭。仕事柄色々と情報が入ってきます。心動かないと言ったらうそになります。しかし、その気持ちは、息子が「お父さん、シンガポールはベンツがいっぱいあるけど、うちはいつになったらベンツに乗れるようになるの?」という質問と似ているような気がします。それが出来ることは嬉しいけれども、幸せの本質とはかなりかけ離れています。
目標を決めて一歩一歩確実に進めていく。もちろん大切なことです。勉強もスポーツも頑張ってほしい。しかし、父の本当の願いは、自分で自分らしく自分の人生を歩いている実感を持ちながら歩んで欲しい。挫折したり、自暴自棄になったり、失恋したり、騙されたり、つらいこと、悲しいことは沢山あるだろう。でもその時、大切なことは立ち直ること、もう一度顔をあげる事、相手に勝つことではなく、自分が立ち上がること、そして人に優しくあること。現状に感謝すること。それが出来れば、かなり幸せな人生になるのです。このことを息子にだけでなく自分自身にも、もう一度言い聞かせてみたいと思います。
文=峯村敏弘(Eisインターナショナル プレスクール園長)
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