コラム

Eis園長先生の教育談議

いじめ

日本ではいじめの問題がまた、クローズアップされています。もしも、自分の子どもがいじめられて自殺したら、決して許すことが出来ません。対処しなかった学校も、担任も、そしてそれを止められなかった自分自身も。


子どもたちと付き合って来て約20年がたちます。色々な子どもがいました。状況や年齢が違っても共通して言えることは大人側の本気をすぐに見破るということ。子どもたちは何度も大人を試してきます。決して負けず、本気であることを分からせます。特に問題を抱えている子どもたちには、自分が大切に思っていること、何とか助けたいと思っていることをきちんと伝え、腹を据え時間をかけること、先生と生徒というよりも一緒に考えて一緒に抜け出そうという気持ちが大切です。


「なんでいじめはいけないの?」このことにきちんと答えられる先生がどれだけいるのでしょうか。もちろん正しい答えなんてありません。しかし、先生が本気で考えた答えがあるかどうか。本当に生徒の痛みを自分の痛みとして感じようとしているかどうかが問われます。けんかもいじめも心の成長に不可欠です。問題はいじめやけんかを通して人間関係や心の痛みを学ぶことが出来たか、放って置かれたかです。その場できちんと指導されれば子どもたちは多くのことを身をもって学べます。しかし、放っておかれれば暴力や人を傷つけることに鈍感になりエスカレートしていきます。いじめられる側もいじめる側もどんどん追い詰められていきます。最悪の結果いじめられる側は死に追いやられ、いじめた側はそのことの重大さにショックを受け立ち直れないほどの自己嫌悪に陥り大きな罪の意識を持ったまま生きる。或いは、友人の心の痛みも或いは死に対しても鈍感になりどんどんと自分がコントロールできなくなり更に凶暴になる。いじめる側が加害者でいじめられる側が被害者ではなく、指導できない先生や大人が加害者で子どもが被害者なのです。


「何でいじめはいけないの?」「いじめているとね、君が不幸になるんだよ。人を信じられなくなるんだよ。いじめられることに怯えなきゃならなくなるんだよ。大切な君が幸せになるために、素敵な人生を送るために人をいじめてはいけないんだよ。」「自分を大切にして欲しい。逃げてもいい、がんばれなくてもいい、だめでもいい、かっこ悪くてもいい、生きることが大切なんだ、今、あなたがそこにいることが大切なんだ、あなたはとても価値のある人間なんだ。あなたを必要としている人がたくさんいることを理解して欲しい。死にたいほどつらい思いをしたならなおさら、あなたを必要としている人が今も未来にもたくさんいるんだよ。」

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.086(2006年11月20日発行)」に掲載されたものです。
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