シンガポールでは、音楽、映画、ソフトウェアの違法ダウンロード対策として、2005年に厳しい著作権新法が導入されました。この新法はホームユーザーをターゲットとしたものではなく、違法デジタルマテリアルを大量にダウンロードして著作権者に実質的な経済的損失をもたらした場合に限るとシンガポール知的財産庁(IPOS)が発表しています。つまり、法人企業が正規ライセンス(使用許諾)を購入せずに違法にソフトウェアをダウンロードして社内で利用していた場合なども、著作権者が告発すれば、当然この法律が適用されることとなります。また、営利的や法人によるケースではなくても、度が過ぎるような重大な著作権侵害を犯したホームユーザーにも適用されるものと見られています。
この改正法では、デジタルマテリアルを違法にダウンロードし、有罪となったユーザー及び企業には2万S$以下の罰金及び、または6カ月以下の懲役が科され、再犯の場合は、5万S$以下の罰金及び、または3年以下の懲役が科されます。これに関してIPOSでは、正規ソフトウェアを購入するのが厳しい中小企業に対して2004年12月31日までの支援計画を打ち出し、マイクロソフト、アドビなどの5大ソフトウェア企業は中小企業に最大40%のディスカウントなどを実施していました。
今後、日系企業もシステム管理者またはIT担当者を配置し、購入していないソフトウェアの違法ダウンロードの予防や、利用するソフトウェアのライセンス管理を徹底することが必要となります。現在スタッフ一人に一台のパソコンを与えているのが当たり前の中で、このような管理と社内ルールの徹底が必要となる企業も少なくないでしょう。
ソフトウェア著作権侵害とは
ソフトウェアの著作権侵害とは、コンピューターのソフトウェアを無許可で複写することを言います。今日、ほとんどの人がソフトウェアを無許可で使用したり複写したりすることが違法であることに気づいていますが、一般的にはソフトウェアを価値ある知的所有権として扱うことには無関心です。また、法人企業もこのように違法であることを知りながら、社内で利用する範囲では問題ないと考え、ライセンス購入などをせずに複写利用するケースが多いのが傾向です。このソフトウェア著作権侵害によって被った損失額は、世界的に数百億米ドルとも言われています。
ソフトウェアの著作権侵害の種類
- ソフトリフティング
単一ライセンスのソフトウェアのコピーを購入し、ライセンスの条件に違反して複数のコンピューターで使用すること。ソフトウェアを友人や同僚などと共有する場合などです。
- アップロードとダウンロード
著作権のあるソフトウェアの無許可コピーをオンライン・サービスプロバイダーやインターネットでモデムに接続されているエンドユーザーが利用できるようにする。
- ソフトウェアの偽造
著作権のあるソフトウェアを不法に複写し、合法的にみせかけて販売する。
- OEMアンバンドリング
特定のハードウェアとバンドル(抱き合わせ)する独立型ソフトウェアを販売する。
- ハードディスクへのロード
パソコンのハードディスクにソフトウェアの無許可コピーをインストールする。エンドユーザーが特定の業者からハードウェアを購入する誘因になる場合がある。
- 賃貸
ビデオのように、一時的に使用するためにソフトウェアを無許可で賃貸すること。
富士通アジアの対応
富士通アジアのネオ・ブンチェ経営情報システム・マネージャーは、社内での徹底を図るためには社員教育が最も重要だと強調する。同社では過去に数回社内セミナーを開催し、違法ソフト使用やコンピューターウィルスの危険性について教育してきている。また社内のソフトウェア使用を追跡できるシステムをすでに取り入れているという。
2004年12月にはマイクロソフト社の一部ソフトの使用権について契約することにより、コスト削減にも成功した。
文=AsiaX編集部
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.029(2005年01月24日発行)」に掲載されたものです。