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会計・税務相談

2010年4月5日

Q.今年の予算案で発表された税制改正のうち、個人に関連するものについて教えてください。

個人に関する税制改正

2010年2月22日に発表された2010年度シンガポール政府予算案では、個人に関する税制改正として以下のようなものがありました。

 

配偶者控除

シンガポールでは女性の社会進出が進んでいますが、配偶者控除についてはなぜかこれまで「Wife Relief(妻控除)」という名称の下、男性にしか認められていませんでした。2010賦課年度より、配偶者控除は被扶養者の夫を有する妻にも認められるようになります。この改正により、例えば夫の定年退職後に妻が就労を続けて家計を支えているような世帯において配偶者控除が認められるようになります。

 

扶養控除が認められる被扶養者の所得限度額

上述の配偶者控除を含め、配偶者や子供、親、障害者の親族等を扶養する場合には扶養控除が認められていますが、その要件として被扶養者の年間所得がS$2,000以下であることと定められています。これに関して、2010賦課年度より、健常者の被扶養者については年間所得の限度額がS$4,000に引き上げられ、障害者の被扶養者については年間所得の限度額が撤廃されることとなりました。社会参加を目指して就労するものの自立に至るまでの十分な収入が得られない障害者の親族を支える家族にとっては朗報です。

 

受講費控除

職業的な専門知識や技能を高めるために費用を自己負担して参加した講座、セミナー、会議等の支出について所得から控除することができますが、2011賦課年度より、控除の限度額についてS$3,500からS$5,000に引き上げられます。受講費控除の対象となる講座やセミナーや会議は、職業や産業の特定分野において活用される技能や知識を習得するためのものであること、又、シンガポールで登記された事業者により開催されたものであることが要件とされています。英会話等の一般的な知識の習得に関する講座の受講料は控除の対象となりません。

 

寄付金控除

地域社会に貢献する認可公的機関(IPC)又は政府機関等への寄付については寄付金額の2倍の所得控除が認められていますが、これに関して2010賦課年度に続き2011賦課年度についても寄付金額の2.5倍の所得控除が認められます。

 

不動産税

2008年に遺産税が撤廃されたことにより、不動産税は現在シンガポールで財産に課せられる唯一の税金です。不動産税の基本税率は内国歳入庁(IRAS)により査定された不動産の年次価額(AV)の10%ですが、持家を奨励するために所有者自らが居住する不動産については4%の軽減税率が適用されています。更に、1994年の商品サービス税(GST)の導入と同時に低所得者及び中間所得者層の税負担を軽減するために所有者自らが居住する不動産についてS$150を限度とする税額控除が適用されるようになりました。

 

今年度の税制改正では、所有者自らが居住する不動産に関して、不動産のAVの最初のS$6,000までについて0%、次のS$,59,000までについて4%、それを超える金額について6%の累進税率に改正されると同時に、税額控除については廃止されることとなりました。

 

この改正により、AVがS$77,000未満の住宅に自ら居住する不動産所有者にとっては若干の減税となります。

 

4月15日は、2010賦課年度の個人所得税の申告期限です。申告をどうぞお忘れなく。

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.164(2010年04月05日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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