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会計・税務相談

2015年3月16日

Q.シンガポールの会社法が改正されたと聞きました。どんな内容なのでしょうか?

会社法の改正内容

シンガポール会社法2014年改正法案は、2014年10月8日に国会で可決され、2015年6月までに施行される見込みです。主な改正のうち、一般の会社に関係がありそうな内容には、以下のようなものがあります。

 

小規模会社に関する監査免除

シンガポール会計基準において「小規模会社」の概念が導入されたのに伴い、私会社が直前の2会計年度で①年間売上高1,000万Sドル以下、②資産総額1,000万Sドル以下、③従業員数50名以下―のうち2つ以上の要件を満たす場合、当該会計年度について会計監査が免除されるようになります。

 

休眠会社

上場会社の子会社を除く非上場の休眠会社について、資産総額が50万Sドル以下の場合には財務報告書作成の義務が免除されるようになります。

 

個人情報

取締役、秘書役、株主などの個人の自宅住所を含む個人情報は、登記簿謄本等を介して一般に公開されています。個人情報保護の観点から、希望により自宅以外の住所の開示を選択できるようになります。ただし、その場合も、自宅住所は必ず会計法人監督庁(ACRA)に届け出なければなりません。

 

株主名簿および役員名簿

第三者が株主の情報をリアルタイムで入手できるようにするために、私会社の株主名簿について、ACRAのシステム上における電子名簿にて一元管理されることになりました。今後、新株割当や株式譲渡は、ACRAへの登記日をもって発効することになります。また、取締役、秘書役、会計監査人、CEOに関する役員名簿は、全ての会社についてACRAのシステム上における電子名簿で一元管理されるようになります。会社は、今後、役員に関する届出について、発効日から14日以内に登記しなければなりません。

 

定款

シンガポールで設立された会社の定款は、基本定款(Memorandum)と附属定款(Articles)により構成されていますが、これらを統合したConstitutionが新たな定款として定められます。現在の会社法第四附則に相当するような見本定款は、会社の種類に応じて複数の見本が規則により定められます。会社が規則で定められた見本定款を自社の定款として全文採用する場合、会社設立時に定款をACRAに提出する必要はなく、また、その後の見本定款の改正に合わせて自社の定款を自動更新することも選択できるようになります。

 

取締役および秘書役の登記責任

会社法に登記が定められた事項について、登記期限を3ヵ月以上過ぎて登記していない場合、当該会社の取締役および秘書役は、登記遅延が解消されるまで新たに別の会社の取締役または秘書役に就任することを禁じられます。

 

外国会社支店の代表者

外国会社のシンガポール支店を登記する場合、支店の代表者として最低2名のシンガポール居住者の代理人(Agent)を選任し登記することが義務づけられていますが、最低必要とされる代表者の人数を1名に減らし、その名称についても代表責任者(Authorised Representative)に変更されます。

 

外国会社本社の決算書

シンガポールで支店登記する外国会社は、本社の決算書を提出する義務がありますが、その内容について、シンガポールで設立された会社の財務報告書となるべく同等の内容になるように、以下のように改正されます。

  1. シンガポール会計基準と類似する会計基準に準拠した財務報告書の作成が設立国の法律により義務づけられている場合、その法律に従って作成された財務報告書
  2. そうでない場合、シンガポール会社法に従って公開会社が作成すべき財務報告書と同等の内容の財務報告書

取材協力=斯波澄子(Tricor Singapore Pte. Ltd.

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.276(2015年03月16日発行)」に掲載されたものです。

本記事は一般的情報の提供のみを目的として作成されており、個別ケースについて、正式な会計士の助言なく、本情報のみに依存された場合は責任を負いかねます。

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