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シンガポールの日本食事情 〜 現在・過去・未来

私自身も含めシンガポールの日本食ファンにとって、2007年は非常におもしろい1年でした。数年前までのシンガポールでは考えられなかったような、これまでに無いコンセプトの日本食レストランが次々とオープンし、日本食をこよなく愛する身としては選択肢が増えうれしい限りです。
かつて、シンガポールで日本食レストランが数えるほどしか無かった頃は、日本人駐在員の方でも足繁く通うような、本当に美味しいお店は限られていました。そして、比較的最近まで、多くのシンガポール人にとって初めて食べる日本食は回転寿司でした。ここ2年ほどで、それが大きく変わってきたように思います。ラーメンやうどん、居酒屋スタイル、ファミレススタイルの日本のフランチャイズ店がこぞって参入し、中心部だけでなく近所のショッピングモールでさえ気軽に日本食を楽しめるようになりました。


5年前にカリフォルニア・スシ・アカデミーを卒業してシンガポールに戻って来た時、シンガポールで日本人以外の人が日本食を理解してもっと楽しめるようにするために、自分が学んだことを活かしてできる限りのことをやっていきたい、と思いました。ほどなく、多くの人達が日本食を好きであるにも関らず、何が入っているのかほとんど知らないことに気付きました。日本人の方には信じられないことでしょうが、かつてのシンガポールの日本食ファンは、寿司飯(シャリ)の味付けに寿司酢が必要なことさえ知らなかったのです。 
最近会う日本食ファンの多くは、料理酒とみりんの違いはもちろん、寿司飯と普通の白米の違いだって分かります。数年前までとは対照的です。


しかし、これはほんの始まりに過ぎません。現在急速に日本食のシーンが広がっていますが、総合リゾートのオープンを控えて、より多くのシェフ、そしてお客さんが日本食のレベルを押し上げることになるでしょう。日本食がこれまで以上に注目を集める今、フード業界全体を押し上げる力にもなっていくのではないでしょうか。
個人的には、業界の中が今後二分化されていくのではないかと見ています。競争や動きが激しくなれば、シンガポールの日本食の質もより高くなっていくでしょう。サービスも向上するでしょう。評判のいいお店の数ももっと増えると思います。改善を怠る店や新しい味を創り出さない店は、置いてけぼりを食うことになるでしょう。シンガポール人の多くにとっても選択肢が増えていて、彼らの舌も肥えてきています。その二分化は、実はもう始まっているのかもしれません。


2007年は、立派でしゃれた店構えで、良質な食材を使い、メニューの幅も広い、いい日本食レストランがこれまで以上に増えました。シンガポールの日本食ファンにとってまさにいい時代になりました。この傾向は2008年も続いていくと思います。
この傾向は日本食だけに限ったものではないでしょう。有名スーパーマーケットや高級食材店における日本食の食材の販売から始まり、やがてフード業界全体にも影響を及ぼすことになると思います。よりクリエイティブで質の高い料理を提供するレストランが増え、世界的に有名なレストランのシンガポールへの進出や、シンガポール・ブランドの海外進出なども見られるでしょう。事実、先日のビジネス・タイムズ紙の記事でも、ヤクンやブレッドトークといった企業が、既にドバイ、シドニー、東京などで店舗を展開し、成功を収めているとありました。


私たちのような食好きにとって、すばらしい時代の到来です!

「Good Food Japan」創刊!

シンガポールの日本食事情 〜 現在・過去・未来日本食の本質を理解してもらい、その素晴らしさを伝えたいと、シンマ・ダショウ氏が日本食専門フリーペーパー「Good Food Japan」を2007年12月に創刊、明治屋やコールドストレージ、フェアプライスの一部店舗などで配布中です。シンガポール人の視点で捉えた日本食の魅力を伝える新しいフリーペーパー、ぜひご覧ください。
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.113(2008年01月01日発行)」に掲載されたものです。

文=Sinma Dashow(Chief Food Evangelist California-Asia Sushi Academy)

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