2014年4月11日
インテリア雑貨「ファブリックボード」シンガポールから世界の人々に
Kannax Pte. Ltd.
近年、日本では北欧のインテリアや雑貨が注目を集めている。その中にファブリックボードと呼ばれ、板にデザインを施した布地を貼り付ける壁飾りがある。普通の絵画や写真とは違う、布独特の風合いが楽しめるインテリアだ。Kannax Pte. Ltd.(カナックス)はこのファブリックボードを主力製品としてシンガポール、アジア、世界への展開をめざす。
「例えば、写真を布地にデジタル染色することでファブリックボードができます。シンガポールには、結婚式や家族の写真をたくさん飾っている家庭が多いので、ファブリックボードにも興味を持ってもらえると思います」と、ダイレクターの小林桃子さん。
一般消費者向けだけでなく、ビジネス顧客もターゲットに見据える。
「レストランなどに店のロゴをファブリックボードに染色することを提案したいと思います。ファブリックボードに限らず、そのほか布製品として、東京で行われた展示会では、ランチョンマット、エプロンなども出展しました。ワインボトルを包む布をつくることなども考えています」。
布地、プラットフォームに思い思いの個性をのせて
付加価値の高いもの、そしてプラットフォームを提供することを重視しているという。
「製品のクリエイティブの面では、当社は、色や個性がまだ付いていない布地、すなわち土台、プラットフォームを提供する。そのプラットフォームに各自思い思いのデザインや組み合わせが入ることで、付加価値が高いものを届けたいと思います」。
Kannaxは、日本で結婚式に使われたブーケを一つ一つ手作りで押し花やドライフラワーに加工する「アフターブーケ事業」、カスタマイズトートバッグやファブリックボード等のデジタル染色を施した布地を使った製品制作の「ファブリック事業」を手がける。2013年4月シンガポールに設立したKannax Pte. Ltd.はカナックスの本社として、東京、ハワイ、そしてファブリックの工房があるカンボジア・プノンペンの拠点を統括する。
シンガポールに本社を設立した理由は、アジアを重視するとともに、世界への発信を考えての選択だという。
「日本市場は独自性が強く、製造から販売まで国内で完結しています。一方で、製品を世界に届けたいと考えた時、世界全体を見ることができるのはどこか、そして同時にアジア市場へのアクセスも良い場所は、と考えた場合、答えは自然にシンガポールとなりました。また、シンガポールは、歴史的背景や大きくない国であるがゆえに、どうやって生き延びていくかを考えてきた国、近隣諸国や世界とのバランスを見つめながら、発展してきた国だと思います。当社は決して大きくはない企業ですが、世界を舞台とするうえで、シンガポールという国から学ぶものが大きいと思うのです」。
会社プロフィール
株式会社 カナックス(Kannax Limited. /東京都港区芝浦)は1987年創業。年間3万件の受注を誇るウェディング・ブライダルブーケの押し花やドライフラワー商品の製造販売、5億通りにカスタマイズができるトートバッグの製造を行っている。2014年4月1日より、シンガポールのKannax Pte. Ltd.を本社とする体制に移行した。
Kannax Pte. Ltd.
80 Robinson Road, #10-01A, Singapore 068898
TEL:6420-6391
取材後記
小林さんは米国ネバダ州の大学で会計学を専攻。「アメリカの大学では専門分野だけでなく、マネジメント全般の基礎、又、様々なバックグラウンドを持った人達のメンタリティについても学ぶことができたので今の仕事に役に立っています」。
2013年9月からシンガポールに赴任してからの感想は「シンガポールには賢く、周りに気を配れる優しさ、しっかりした経済観念を持った人が多い印象を受けます」。
休日はなるべく外に出ることを心がけ、気まぐれにバスにのって知らない場所で下車したりするそうです。「港湾が一望できる公園に行ったときは、一大海運拠点としてのシンガポールを実感しました」。
心がけていることは「笑顔と思いやりを忘れずに」、母親の言葉である「何でも愛情を込めてやりましょう」。
好きな言葉は、「作家五木寛之氏の書籍タイトルでもある『大河の一滴』」。