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ビジネス特集

2014年3月3日

【あれから、3年】3.11東日本大震災被災地は今

地震・津波・原発事故の複合災害が、東北地方などに甚大な被害をもたらした東日本大震災。あの日、沿岸部では波が暮らしのすべてを呑みこみ、一瞬にしてがれきの山を積み上げ去って行った。原発周辺では、目に見えない恐怖が空から降り注いだ。それから、間もなく3年。今も津波被災地の多くにはだだっ広い茶色の土だけが広がり、巨大な仮設住宅群に大勢の人が暮らす。立ち入り制限が続く福島の家屋は、ネズミが繁殖し荒廃が進んでいく。その一方で、喪失を抱えながらも懸命に、復興への新たな一歩を踏み出した人々もいる。今、被災地はどうなっているのか。現状の一端を報告する。

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中心部が壊滅状態になった岩手県大槌町の現在の姿。高さ14.5メートルの巨大な防潮堤再建計画が進むが、町民には疑問の声も。

東日本大震災

2011年3月11日午後2時46分発生
マグニチュード9.0、震度7(宮城県北部)
死者1万8,703人、行方不明者2,674人
負傷者6,220人(2013年9月現在、消防庁まとめ)

 

被災者の自宅再建は

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2月、豪雪に見舞われた福島県田村市の仮設住宅。プレハブ住宅の冬の冷え込みは厳しい。

安定した住まいは復興の基礎となる。しかし、被災地内外では27万306人(2014年1月現在)が今も避難生活を続け、そのうちプレハブなどの仮設住宅で暮らす人は10万2,650人(2013年10月現在)に上る。仮設住宅はあくまでも一時的な住居で、期限は原則2年間とされていた。しかし、2年を過ぎても自宅が再建できない被災者が多く、期限は2度にわたって延長された。現在は2015年末が入居期限となっている。

背景には「災害公営住宅(復興住宅)」の建設の遅れがある。自力で自宅再建が不可能な被災者のために建設されるのが、低家賃で長く住むことができる復興住宅。だが、平地が少なく建設用地が不足していること、地権者との交渉の長期化、建設資材高騰などが原因で建設が遅れている。

2013年11月末現在の復興庁のまとめでは岩手、宮城県で必要な約2万2,000戸のうち、整備が完了したのは509戸(約2%)、着工率(用地確保ができた割合)で1万3,200戸(61%)となっている。避難指示で被災者が散り散りになった福島県では「どこに何戸必要か」の把握にも長期間を要した。必要な5,000戸のうち、完成は80戸(約2%)。

 

福島県の現状

p3避難指示

福島県内では、福島第一原発事故の影響で現在も避難指示が続いている。事故直後に設定されていた「原発から20キロ、30キロ」という距離による区分けは、放射線量の高低に応じて再編された。再編は2013年8月までに完了し、現在は図のような区分に変わっている。避難から長期間立ち入り禁止とされた地区では、泥棒が多発。野生化した家畜やネズミに荒らされ、とても住めない状態になった家も多い。一方、4月1日に田村市の避難指示が解除されることが決まった。今年以降、帰還に向けた動きが活発化しそうだ。

健康調査

健康不安が懸念されているが、県の健康診断など各種調査により、被ばくは健康に影響が及ぶ量でないことが判明しつつある。

例えば、体内に取り込まれた放射性物質から受ける「内部被ばく」量の検査では、18歳未満の子どもと妊婦が優先され、これまで約17万5,000人が検査を受けた。その結果、預託実効線量(検出された放射性物質から生涯に受ける値)は最高でも3ミリシーベルト、99%が1ミリシーベルト(国の目標値)未満だった。

震災関連死

一方、より深刻なのは、避難生活中に体調を崩して亡くなるなどの「震災関連死」が増え続けている問題。福島県内では、津波や地震で亡くなった直接死が1,603人に対して、関連死は1,664人(いずれも2月25日現在)と上回っている。原発事故の影響で、自宅から離れた場所での避難生活が長期化していることが背景にある。

 

被災者の自宅再建は

p43

宮城県七ヶ浜町遠山保育所。シンガポールからの義援金にちなんで「らいおんパーク」というサブネームがつけられた(髙橋一平建築事務所提供)

震災発生後、シンガポール国内からも多くの支援や、義援金が被災地に寄せられた。このうち、シンガポール日本人会などの協力も受け、シンガポール赤十字社が集めた義援金は3,570万Sドル(約22億円、2012年7月時点)に達した。この中にはシンガポール政府からの50万Sドル分も含まれている。

シンガポール赤十字社は、震災直後、緊急支援物資として宮城県石巻市などに約1万3,000本の水や毛布、マットレス、コンテナなどを寄付。その後2011年5月には、津波被災地での夜間医療センターや看護学校の再建などに890万Sドルを投じた。

さらに、日本、シンガポール両国大使館や被災地の自治体などと協力して、独自の復興プロジェクトを検討。津波などで破壊された地域の施設の再建を支援することになった。主な建設プロジェクトは以下の4つ。今年中にはすべて完成する予定となっている。カッコ内の金額は支援相当額。

 

1) 岩手県宮古市 田老サポートセンター
(高齢者支援施設、7,000万円)
2011年11月開所

 

2) 宮城県七ヶ浜町 町立遠山保育所らいおんパーク
(3億1,000万円)
2013年5月開所

 

3) 福島県相馬市 磯部コミュニティセンター
(1億2,000万円)
2013年7月完成

 

4) 岩手県陸前高田市 コミュニティーホール
(7億円)
現在建設中、2014年10月完成予定


この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.252(2014年03月03日発行)」に掲載されたものです。
取材=石澤由梨子

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