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ビジネス特集

2013年12月16日

激動の2014年となるか、シンガポールの4業界展望

東京オリンピックの開催決定に沸いた日本、世界は「シェール革命」の発現に衝撃を受けた2013年。一方で、日米・量的金融緩和問題、天災が頻発し、環境への危機意識が高まった年でもある。米国、中国が今後の経済の行方を握るのか。加えて、気になるシンガポールの不動産業界動向。クリーンエネルギーを積極的に導入するエネルギー政策は「省エネ」が鍵となるか。都市国家として各国から注目を集める観光政策はいかに?4業界の精鋭らに2014年の先行きを聞いた。

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2013年のエネルギー業界は?

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OSAKA GAS SINGAPORE PTE.LTD.     大阪ガス・シンガポール     ジェネラル・マネージャー     藤本 幸央(ふじもと ゆきなか)氏

世界的に見てエネルギー業界はここ数年で大きく変化している。技術革新が進んだ今日、米国発「シェールガス革命」などが騒がれて久しいが、世界はこれまでの石油依存型から、非在来型の資源開発へと一歩踏みだしたところで、この新しいエネルギー開発に対する期待は大きい。

アジアについて言えば、エネルギー需要が今後25年で倍増すると予測されている。これを背景に、クリーンで柔軟なエネルギーが求められるようになり、LNG(液化天然ガス)がその需要を埋めるとみている。東南アジアでは、2011年タイ、2012年インドネシアに続き、今年はシンガポールとマレーシアでLNGターミナルが操業を開始。2020年までにはベトナム、フィリピンでもLNGの輸入が開始される予定だ。東南アジアにおけるエネルギーの流通が今、まさに大きく変わろうとしている。

都市国家ゆえのエネルギー政策について

シンガポールは資源のない国で、エネルギーの全てを産油・産ガスの周辺諸国からの輸入で賄っている。限られた国土の条件下で、水源も乏しく、石炭による火力発電は困難であった経緯から1992年より天然ガスの輸入が開始された。現在、シンガポールの電力は、84%が天然ガス、残りを石油から発電している。

天然ガスは、1992年よりマレーシア、2001 ~ 02年にインドネシアから海底パイプラインで輸入しているが、過去にガス供給がストップし大規模停電が発生した。こういう経緯もあって、エネルギー供給多様化がシンガポールのエネルギー戦略の骨子の一つとなっている。

その戦略の目玉として、LNGターミナルの建設を開始、今年の5月よりLNGタンク2基(受け入れ能力、年間350万トン)で操業が始まった。今年末には3基目が(受け入れ能力は年間600万トンまで増加)、また、2017年には4基目が完成する予定で、年間900万トンまで受け入れ能力が拡大する。これによって、価格競合力のあるLNG購入が可能となり、エネルギー・セキュリティーの向上や将来の需要増への対応、さらに、LNGトレーディングやバンカリング(LNG燃料船への燃料充填作業)などが実現可能になる。

また、政府は太陽光、風力、潮汐エネルギー、さらにバイオ燃料などのクリーンエネルギー(再生可能エネルギー)でもエネルギー供給源の多様化を図ろうとしている。

エネルギーコストの軽減が課題

最大の課題は日本と同様、エネルギーコストが高止まりしていることである。現時点では従来のパイプラインで輸入した天然ガス(PNG:パイプライン天然ガス)が大半を占める。PNG価格は重油に連動しているため、今後、短期間での大きな変化は考えにくいが、マレーシアとの供給契約が切れる2018年(2023年にはインドネシア)までに、今話題のシェールガス(天然ガス)の輸入が開始されれば、マーケットにも多少のインパクトがあるかもしれない。

しかし、高すぎるエネルギーコストに加え、人件費や土地代、さらにユーティリティ(設備)のコストも高いとなれば、(産業サイドからいえば)それほどコストのかかるところで製造業を展開するべきか、という話になる。天然ガスの輸入コストが急落しにくい状況でもあり、政府の新しい政策に焦点が集まっている。

2014年は「省エネ」が鍵

対象となるのは、年間エネルギー消費量が54TJ(≒15GWh)を超える製造業だ。対象となる企業は2014年6月までにエネルギー使用量を報告する義務がある。その報告結果をベースに5年間で5%のエネルギー効率の改善がガイドラインとして掲げられていて、企業側に「省エネ」の努力を働きかけている。

電力・ガスは既に自由化されており、政府は更に新たな取り組みを導入することによって競合力の向上を目指している。

2014年の第2四半期から、電力の先物取引が始まる。これにより、自ら発電設備を持たない事業者の市場参入が容易となり、更なる競合による電力価格の低下が期待されている。また、2015年には、消費者が積極的に電力市場に参加できる“デマンド・レスポンス・スキーム”が開始される予定だ。参加者は電力価格が高い時に、自らの電力使用量を抑制、これにより電力価格の急上昇が緩和され、エネルギーコストも削減される。削減できたコストは、電力使用量を抑制した参加者に還元されるという取り組みだ。

現在、LNGの輸入ライセンスは英ブリティッシュ・ガスグループ(BG)1社に限られている。今年、この単独委託の期限が切れるため、新たに1~2社が選定される予定だ。その結果が、今後のエネルギー価格に大きな影響を与えるとみており、関係者の注目を集めている。

 

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.248(2013年12月16日発行)」に掲載されたものです。
取材=野本寿子

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