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インドビジネス基礎情報

2006年6月19日

多様性の国インド

インドの人口は10億8,000万人(2005年)で、世界第2位です。また人口構成もピラミッド構造となっており、25歳以下が半数以上を占めるその豊富な若年人口がインドの強みです。

 
国土の面積は日本の8.7倍にあたる329万平方キロメートルで、世界第7位の広さです。またアジアで最も長い海岸線を持ち、東は南シナ海、西はアラブ、アフリカへ面しています。イスラムと中国という世界経済の中心地の間に位置しているというその地理的な利点から、交易大国ともなっていました。現在でもインドは、中東や欧州とアジアを結ぶハブになりうるという意味で、重要な位置にあります。

 
このようにイスラムや欧米の影響を受けてきた地理的条件に加えて、自身も長い歴史を持つインドの特徴は、その多様性です。

 
広大なインドは29の州と6つの政府直轄領から成り、大きく首都ニューデリーのある北部、巨大都市圏を形成するコルカタのある東部、インド最大の商業都市ムンバイのある西部、ハイテク都市バンガロールやチェンナイのある南部に分けられます。

 
インドの気候はムンバイやコルカタなど夏は40度を越え、暑い国というイメージがありますが、北部はヒマラヤ山脈で雪と氷の寒冷地です。またニューデリーでも夏は40度を越えますが、今年の1月には最低気温0度にもなりました。また6〜9月の雨期にあるモンスーンによる降雨は、毎年農業生産に大きな影響を与えています。

 
民族的には、紀元前3,500年ごろからドラヴィダ族の進出から始まり、その後紀元前1,500年ごろにはヨーロッパ人と起源を同じくするアーリア人がインド北東部に進出して来ました。現在インド北部ネパールの近くには黄色のモンゴロイド系、東部ヒンドスタン平原から西部インダスに至る北部にはアーリア系の人が多く、南部にはドラヴィダ系の人が多く住んでいます。アーリヤ系の人はドラヴィダ系の人に比べると肌は白く、背も概して高いという傾向があります。インド全体ではアーリア系が7割、ドラヴィダ系が25%で、その他モンゴロイド系など多くの少数民族から成る国家です。

 
言語については、アーリア民族系は欧米などと同じインド・アーリア系言語であるヒンディー語、ベンガル語を用い、ヒンディー語を話す人は4億人を超え、連邦公用語となっていますが、英語も準公用語となっています。その他タミル語など17の地方公用語の他、数百の地方言語があります。ヒンディー語圏以外の地方では地方の言葉以外に英語とヒンディー語を加えた三つの言葉を話せる人も多くいます。また奥さんの国の言葉を覚える必要など、言語の習得はインド人にとって普通のことで、インド人の言語習得能力は高いものがあります。インドの紙幣は表はヒンディー語、裏にはヒンディー語、英語に加えて、サンスクリット語やベンガル語など17種類もの言語で表示されていると言うのは有名な話です。

 
このような多様性の国インドについて、その産業、歴史や宗教、および文化や政治など、最新のニュースも交えながら、わかりやすく解説していきます。

文=土肥克彦(有限会社アイジェイシーauthor

福岡県出身。九州大学工学部卒業後、川崎製鉄入社。東京本社勤務時代にインド・ダスツール社と協業、オフショア・ソフト開発に携わる。
2004年有限会社アイジェイシーを設立、ダスツール社と提携しながら、各種オフショア開発の受託やコンサルティング、ビジネス・サポート等のサービスで日印間のビジネスの架け橋として活躍している。
また、メールマガジン「インドの今を知る! 一歩先読むビジネスのヒント!」を発行、インドに興味のある企業や個人を対象に日々インド情報を発信中。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.076(2006年06月19日発行)」に掲載されたものです。

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